年金「15万円」をもらっていた夫が急逝…自分の年金は「5万円」ほどなのですが、遺族年金が受け取れたら生活していけるでしょうか?

配信日: 2025.10.14 更新日: 2025.10.21
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年金「15万円」をもらっていた夫が急逝…自分の年金は「5万円」ほどなのですが、遺族年金が受け取れたら生活していけるでしょうか?
「月に15万円ほど」の年金を受け取っていた夫が急に亡くなってしまい、自分には月5万円程度の年金しかない──このような場合、遺族年金を受け取れれば生活していけるのか、不安に感じている方もいるかもしれません。
 
遺族年金が支給されれば、ある程度の収入補てんになる可能性がありますが、実際に遺族年金だけで生活していけるかどうかは、受給金額や家庭の支出次第です。
 
この記事では、制度面と統計データの両方から、「遺族年金がどの程度役立つか」「どのような補てんが必要か」を詳しく検討します。
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遺族年金の仕組みと受給対象者(基礎+厚生年金)

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。遺族基礎年金は国民年金に加入していた人が亡くなったなど、受給要件を満たした場合に支給されるもので、受給対象者は、亡くなった方に生計を維持されていた「子どものいる配偶者」または「子ども」に限られます。
 
一方、遺族厚生年金は厚生年金保険に加入していた人が亡くなったなど、受給要件を満たした場合に支給され、日本年金機構によれば、受給対象者は亡くなった方に生計を維持されていた以下の遺族です。


1. 子のある配偶者
2. 子
3. 子のない配偶者
4. 父母
5. 孫
6. 祖父母

遺族厚生年金の支給額は、亡くなった方の老齢厚生年金における報酬比例部分の4分の3に相当する金額が基本です。ただしどちらの制度も、受給するためには細かな条件が定められています。
 
また、自分が65歳以上で老齢厚生年金と遺族厚生年金を受ける権利がある場合、基本的には自身の老齢厚生年金が支給されることになり、遺族厚生年金は老齢厚生年金よりも高い場合にその差額を受給することができます。65歳以上で老齢基礎年金を受けている場合は、遺族厚生年金は併せて受け取れます。
 
したがって、まずは自分がどの年金に該当するか、受給資格があるかどうかを確認することが第一歩となります。
 

遺族年金の受給額の目安はどれくらいになるか

今回のケースで夫が月15万円の年金を受け取っていた場合、一般には厚生年金保険に加入していたと考えられるため、そのうち報酬比例部分が仮に全額だったとすると、遺族厚生年金としてはおおよそその4分の3程度、すなわち約11万円前後が支給されると考えられます。
 
実際には年金額の内訳や加給年金の有無、受給開始年齢などにより変動するため、これはあくまで目安です。また、遺族基礎年金を受け取れるのは子どものいる配偶者に限られるため、子どもが18歳以上の場合などは支給されません。
 
さらに、自身の老齢年金との調整が入る場合もあるため、単純な足し算ではなく、実際に受け取れる金額は想定よりも少なくなることもあります。制度の細部を理解し、年金事務所などで具体的な見積もりを取ることが大切です。
 

家計支出の平均データから見る、必要な生活費の目安

遺族年金の額を知るだけでは、生活していけるかどうかは判断できません。必要なのは「支出」とのバランスです。
 
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦高齢者無職世帯における平均消費支出はおよそ月25万円前後とされています。
 
65歳以上の高齢単身無職世帯でも15万円ほどが平均的な生活費です。食料や光熱費、医療費、通信費などの固定的な支出は避けられず、住居費は持ち家か賃貸かによっても大きく差が出ます。
 
仮に遺族厚生年金として約11万円、自分の老齢基礎年金が5万円あったとしても、合計16万円前後にしかなりません。平均的な生活費と比べると毎月ギリギリの収入となり、遺族年金だけで安定した生活を続けるのは難しいのが現実です。
 

生活費の不足分をどう補うか

遺族年金と自身の老齢年金だけで生活費をまかなうのが厳しい場合、いくつかの方法で不足分を補うことは可能です。
 
まずは貯蓄を計画的に取り崩すことが挙げられます。長期的な視点で生活資金を見積もり、毎月どの程度取り崩しても安心かを考えることが重要です。また、体力的に可能であれば、パート勤務や在宅ワークなどで少しでも収入を得るのも現実的な選択肢です。
 
さらに、医療費助成や高齢者向け住宅補助など、公的な支援制度を活用することも検討しましょう。地域によっては、低所得の高齢者に対して家賃補助や介護費の減免制度を設けている自治体もあります。
 
支出の見直しも効果的です。食費や通信費を抑える、保険を整理する、光熱費プランを見直すなど、日々の工夫で家計の負担を軽くできます。
 
遺族年金があることで経済的な不安を大きく減らすことはできますが、それだけに頼らず、資産の使い方や支援制度の利用なども合わせて考えることが、安心して暮らし続けるための現実的な方法といえるでしょう。
 

まとめ

遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。今回のケースで月15万円の年金を受け取っていた夫の場合、遺族厚生年金として11万円前後が見込まれますが、自身の年金を足しても、毎月の家計収支はギリギリになってしまうかもしれません。
 
平均的な生活支出を考えると、遺族年金と自身の老齢年金だけでは心許ない可能性があるため、貯蓄や就労、公的支援などを上手に組み合わせていく必要があります。
 
「もしもの時」に備え、今のうちから受給見込み額を確認し、生活設計を見直しておくことが、安心して老後を迎えるための第一歩となるでしょう。
 

出典

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(19ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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