50歳パート主婦、ねんきん定期便に「月6万円」と記載されていました…今から扶養を抜けて「月収18万円」で働けば、将来の年金はどれだけ増えるでしょうか？

50歳を迎え、老後資金に不安を感じているパート主婦（夫）の人も多いのではないでしょうか。特に扶養内で働いている場合、将来受け取れる年金額は国民年金（基礎年金）のみ、あるいはそれに近い水準となります。
 
本記事では、扶養を外れて月収18万円（年収216万円）のフルタイム勤務に切り替えた場合、将来の年金がどの程度増えるのかを具体的にシミュレーションします。年金額を増やす方法を知り、老後の不安解消に役立ててください。

扶養内パート主婦の年金と「月6万円」の内訳

「ねんきん定期便」に記載されている月6万円という年金額は、老齢基礎年金のみ、またはそれに近い額である可能性が高いです。老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間（480ヶ月）国民年金保険料を全額納めた場合、2025年度で月額6万9308円を受け取ることができます。
 
年金を増やすには、この老齢基礎年金に加えて「老齢厚生年金」を積み重ねることが必要です。老齢厚生年金は、会社員や公務員が加入する厚生年金保険であり、加入していた期間や月収に応じて受給額が増えます。
 
扶養内で働くパート主婦は「第3号被保険者」となるため、厚生年金に加入していません。その結果、老齢厚生年金がほとんど積み上がらず、年金額が月6万円程度にとどまってしまうのです。
 

月収18万円でフルタイム勤務に！ 年金増加のシミュレーション

50歳から扶養を外れて厚生年金に加入し、月収18万円（年収216万円）のフルタイム勤務を始めた場合、年金がどのくらい増えるのかを試算してみましょう。ここでは50歳から60歳までの10年間、厚生年金に加入したケースを想定します。
 
老齢厚生年金の額は、平均標準報酬額（平均月収）と加入期間を基に算出され、2003年4月以降の被保険者期間については「平均標準報酬額×5.481÷1000×被保険者期間の月数」で計算されます。
 
今回は平均月収18万円で10年間（120ヶ月）働いた場合を試算すると、「18万円×5.481÷1000×120ヶ月＝11万8389円」となります。つまり10年間で増える年金額（年額）は約11万8000円、月額に換算すると約9800円の増加です。
 
したがって、現在の年金見込額（月6万円）に約9800円が上乗せされ、将来の年金は月約7万円になると見込まれます。
 

年金をさらに増やすための3つの方法

月収18万円のフルタイム勤務に切り替えるだけでも年金は増えますが、さらに年金額を増やすためにできる3つの方法を紹介します。
 

60歳以降も厚生年金に加入して働く

60歳以降も働き続け、厚生年金に加入し続けることが、効果的な年金増加策です。年金は加入期間が長くなるほど増えていき、70歳まで厚生年金に加入することが可能です。
 

iDeCo（イデコ）の活用

iDeCo（個人型確定拠出年金）は、自分で掛金を拠出し運用することで老後資金を準備する制度です。50歳からでも最長65歳まで拠出でき、掛金は全額が所得控除の対象となるため、年金の上乗せと節税効果の両方が得られます。
 

年金の「繰下げ受給」を検討する

65歳からの年金受給を遅らせる「繰下げ受給」を利用すると、1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%増えます。70歳まで繰り下げると42%、75歳まで繰り下げれば84%増額となります。生活が可能な収入が得られるうちは、繰下げ受給はぜひ検討してみましょう。
 

50歳からの働き方変更は老後資金増加に直結する

50歳のパート主婦が扶養を外れ、月収18万円でフルタイム勤務（厚生年金加入）に切り替えれば、10年間で将来の年金は月額約1万円増える見込みです。この増加額は老後の生活費を大きく支えることになります。
 
さらに、60歳以降も厚生年金に加入して働くことやiDeCoの活用、年金の繰下げ受給の検討を組み合わせれば、年金額をより増やすことが可能です。50歳からの働き方の見直しは、老後資金の増加に直結しますので、今一度将来について考えてみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCo（イデコ）の特徴
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー