大学に通っている間、学生免除で年金を払っていませんでしたが、事情で退学することに…。この免除分は退学後に支払わなければならないのでしょうか?

配信日: 2025.10.16 更新日: 2025.10.21
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大学に通っている間、学生免除で年金を払っていませんでしたが、事情で退学することに…。この免除分は退学後に支払わなければならないのでしょうか?
日本では20歳になると、すべての国民が国民年金に加入する義務があります。しかし、学生の多くは収入が少なく、保険料を支払うのが難しいため「学生納付特例制度(学生免除)」を利用している人も多いでしょう。
 
ところが、事情により大学を退学することになった場合、「学生免除中の分はどうなるの? 」「退学後に支払わなければいけないの? 」と不安に感じる方も少なくありません。ここでは、退学後の年金免除分の扱いと注意点をわかりやすく解説します。
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学生納付特例制度とは?

「学生納付特例制度」とは、在学中で収入が一定以下の学生が国民年金保険料の納付を猶予される制度です。免除とは違い「支払いを免れる」わけではなく、「支払いを後回しにできる」仕組みです。
 
つまり、将来的には納める(追納する)こともできる制度なのです。この制度を利用している間も、加入期間としてはカウントされます。ただし、実際に保険料を納めていないため、老齢基礎年金を受け取る際の「年金額」には反映されません。
 

退学したら免除はどうなる?

退学すると、当然ながら学生ではなくなります。その時点で「学生納付特例制度の対象外」となり、翌月以降は通常の国民年金保険料を自分で納付する必要があります。
 
退学届を提出してから、学校側が日本年金機構に情報を送るまでに少し時間がかかることもありますが、原則として退学の翌月から特例の効力はなくなります。つまり、退学する月までは学生特例適用、退学翌月以降は自分で納付義務が発生するという流れです。
 

免除期間中の保険料は「支払い義務」ではないが「追納可能」

退学した後、「学生のときの免除分を払わなければならないのか? 」という点ですが、結論から言えば支払い義務はありません。学生特例期間中は「納付が猶予されている」だけであり、未納扱いではないため、退学したからといって自動的に請求が来ることはありません。
 
ただし、将来の年金額を増やしたい場合には、「追納」という形で支払うことが可能です。追納できるのは原則として10年以内。早めに支払えば延滞金もかかりませんが、3年を過ぎると加算金(延滞金のようなもの)が発生します。
 

追納するメリットと注意点

追納の最大のメリットは、将来の年金受給額が増えることです。学生納付特例期間中は「年金受給資格期間」には含まれますが、「年金額の計算」には反映されません。
 
たとえば、2年間の学生免除期間がある場合、そのままにしておくと将来の年金額は4万円ほど少なくなります。ただし、追納を考える際には次の点に注意しましょう。
 

1.3年以上経過すると加算金がかかる

追納は早いほど負担が少なく済みます。退学後すぐに手続きを検討するのがおすすめです。
 

2.所得控除の対象になる

追納した保険料は「社会保険料控除」として所得税・住民税の控除対象になります。節税効果もあるため、働き始めた後にまとめて支払うのも一つの方法です。
 

3.一括でも分割でも支払い可能

日本年金機構に申し出れば、追納額を分割して納めることもできます。無理のない範囲で計画的に支払うのがポイントです。退学したら、まず市区町村の役所(または年金事務所)で国民年金の種別変更手続きを行いましょう。
 
「学生特例のまま」になっていると、保険料の未納期間が発生する可能性があります。未納が続くと、将来的に障害年金や遺族年金の受給資格を失うリスクもあるため、手続きは早めに行うことが大切です。
 

退学後の年金は「放置しない」が鉄則

学生特例制度で免除を受けていた期間の保険料は、退学後に必ずしも支払う必要はありません。しかし、将来の年金額を増やしたい場合や、安心して老後を迎えたい場合には、追納を検討する価値があります。
 
退学というライフイベントは大きな転換期。だからこそ、年金のことも「後回し」にせず、今後の生活設計の一部としてしっかり考えておくことが重要です。
 
年金事務所や市区町村の窓口では、個別相談も可能ですので、早めに確認しておきましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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