52歳で夫が急逝。3人の子どもと暮らす私は「遺族年金」を“何歳”まで、“いくら”受け取れる?
また、夫が契約者で、かつ被保険者の生命保険に加入していた場合、受取人が妻や子どものときには、死亡保険金を受け取ることになります。さらに、年金加入者が死亡した場合の、遺族の生活保障として遺族給付があります。
本記事では、平均的な年収の会社員(夫)が亡くなった場合の公的年金の遺族給付の額について確認していきます。
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
遺族基礎年金の年金額
平均的な会社員の家計として年収480万円(平均標準報酬額40万円)で、妻(50歳)と子ども3人は夫に生計を維持されており、子どもの年齢は17歳、15歳、13歳と仮定します。
【受給できる遺族の範囲】
死亡した人に生計を維持された子または子のある配偶者
※子の要件は、18歳になって最初の3月31日まで(子が障害等級1級または2級の場合は、20歳になって最初の3月31日まで)
【夫の国民年金保険料の納付条件】
保険料納付済期間+保険料免除期間が全保険者期間の3分の2以上あること
※この要件を満たさない場合、直近1年間に保険料の滞納がないことが条件となる。
【遺族基礎年金の年金額】(令和7年4月分から)
子のある配偶者(昭和31年4月2日以後生まれ):83万1700円+子の加算額
子の加算額1人目および2人目の子の加算額:各23万9300円
3人目以降の子の加算額:各7万9800円
今回の事例の場合、妻は年間139万100円(83万1700円+23万9300円×2人+7万9800円)を受給できます。
ただし、遺族基礎年金の受給要件は、子のある配偶者なので、子どもが1人ずつ18歳に到達するたびに子の加算額が減少し、3人の子どもが18歳になって最初の3月31日を迎えると遺族基礎年金は受給できなくなります。単純に捉えると、末子が18歳となる5年後までの支給となります。
遺族厚生年金の年金額
厚生年金の被保険者の夫が亡くなったため、遺族基礎年金に上乗せして遺族厚生年金を受け取ることができます。子のある配偶者が遺族厚生年金を受け取っている間は、子には支給されません。
【遺族厚生年金の年金額】
夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3相当額
【その他注意事項】
(1)死亡した夫の被保険者期間が300月(25年)に満たないときは、300月とみなして年金額を計算します。
(2)妻が65歳となり、遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合は、老齢厚生年金が全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となります(遺族厚生年金が妻の老齢厚生年金より多い場合は、その差額分を支給)。
中高齢寡婦加算
前述の通り、妻は末子が18歳に到達する5年後には、遺族基礎年金を受け取ることができなくなります。
支給停止による年金額減少の影響を緩和するため、妻が65歳になるまでの期間(55~65歳までの10年間)については、「中高齢寡婦加算」として、遺族厚生年金に62万3800円が加算されます。
まとめ
以上の遺族基礎年金、遺族厚生年金、中高齢寡婦加算が妻の年齢に応じて支給されることになります。今回の事例は、夫が会社員(厚生年金保険の加入者)のケースですが、自営業やフリーターなどであった場合は、原則、遺族基礎年金しか受給することができません。
ただし、自営業等(国民年金の第1号被保険者)の独自給付として、寡婦年金や死亡一時金の制度を利用できる場合があります。詳しい年金額を知りたい場合や不明な点などについては、「ねんきんネット」や「ねんきんダイヤル」、または年金事務所などで確認することをおすすめいたします。
出典
日本年金機構 遺族年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
