22歳で年金を払っていますが、年金を払うより自分で資産運用したほうがいい気がします。将来どっちが安全なのでしょうか?
特に年金に関して、「これだけ引かれているなら、自分で資産運用したほうがいいのでは?」と感じたことがある人も多いでしょう。確かに、投資信託やNISA、iDeCoといった制度が充実している今、「国に頼るより自分で運用したい」と考える若者が増えています。
では実際のところ、年金と資産運用、将来どちらが“安全”なのかを冷静に見ていきましょう。
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目次
年金制度の「安全性」はどこにあるのか
まず、日本の年金制度は「賦課方式」と呼ばれ、現役世代が支払った保険料がそのまま高齢者の年金に使われる仕組みです。このため、「自分の支払った分が将来戻ってくるわけではない」ことが誤解を生む原因でもあります。
しかし、年金は国が保証する「終身の所得補償」という点で、資産運用にはない強みがあります。株式や投資信託のように市場が不安定でも、年金は毎月一定額が生涯にわたり支給されます。長生きするほど支給総額は増えるため、長寿リスク(生きすぎることでお金が尽きるリスク)を回避できるのが最大の特長です。
自分で資産運用するリスクと魅力
一方で、投資による資産運用は「自分の努力次第でリターンを増やせる」という自由度があります。20代から始めれば、複利の力を最大限生かして長期的に資産を増やすことが可能です。たとえば、年間3%の利回りで30年間積み立てれば、元本の約2.4倍に増える計算です。
ただし、ここには当然リスクも存在します。景気の悪化や金融危機、インフレなどによって資産価値が目減りすることもあります。特に投資初心者の場合、心理的に不安定になりやすく、「損が怖くて投資をやめる」という失敗も珍しくありません。
また、資産運用は「長く続けること」が前提です。途中で解約したり積立を止めたりすれば、複利効果が薄れます。つまり、安定した収入と計画性が求められるのです。
「年金+資産運用」という考え方が最も合理的
年金と資産運用は、実はどちらかを選ぶものではありません。
年金は「生活の最低ラインを保証する公的保険」であり、資産運用は「より豊かな生活を実現するための手段」です。たとえるなら、年金は安全ベルト、資産運用はアクセルのような関係です。安全ベルトなしでスピードを出すのは危険ですが、ベルトだけでは前に進めません。このバランスを取るのが賢い選択です。
具体的には、まず国民年金・厚生年金をしっかり払うことが前提。そのうえで、余剰資金をNISAやiDeCoなどに回していくのが現実的です。特にiDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を積み立てながら所得控除による節税効果も得られるため、年金と投資の“いいとこ取り”ができます。
厚生労働省の確定拠出年金統計資料(2024年3月末)によると、2024年3月末時点でiDeCoに加入している20代の割合は約18%です。加入人数は2020年3月末で約130万人、2024年3月末で約150万人と、徐々に増え続けています。
将来の「安全」とは、制度と自助の両輪で作るもの
将来の不安を完全に消すことはできません。しかし、制度に頼りきりでも、自分だけを信じても危ういのが現実です。年金制度が多少揺らいでも、「最低限の保障+自分の資産」という二本柱があれば、どちらかが不安定になっても生活基盤は守れます。これこそが真の「安全」です。
22歳から始める「分散の発想」
22歳という若さで年金に関心を持つのは、非常に賢明なことです。長期的に見ると、最も大切なのは「一つの仕組みに依存しない」こと。年金という国のセーフティネットを維持しながら、自分でも小さく資産運用を始める。この組み合わせが、未来の安心につながります。
出典
厚生労働省 確定拠出年金統計資料(2024年3月末)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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