自営業の国民年金第1号被保険者です。付加年金・国民年金基金・iDeCoのどれに加入するのが将来もらえるお金の面で得でしょうか?

配信日: 2025.10.25
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自営業の国民年金第1号被保険者です。付加年金・国民年金基金・iDeCoのどれに加入するのが将来もらえるお金の面で得でしょうか?
自営業者など国民年金(第1号被保険者)のみの加入者にとって、老後にどれだけ年金を上乗せできるかは重要なテーマです。付加年金や国民年金基金、iDeCo(個人型確定拠出年金)はいずれも将来もらえるお金を増やす仕組みですが、その特徴や負担、リスクは大きく異なります。
 
本記事では、それぞれの制度をお金の視点から中立的に比較し、どのような人にどれが向いているのかを考えます。
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各制度の仕組みと特徴

付加年金は、国民年金の保険料に月400円を追加で納めることで、将来受け取る老齢基礎年金の金額を増やせる制度です。
 
納めた月数×200円が毎年の年金額に加算されるため、長く加入するほど受給額が増えます。少ない負担で元が取りやすく、2年程度の受給で支払額を上回ることができます。ただし、加算額そのものは大きくないため、老後の生活資金を大幅に変えるほどではありません。
 
国民年金基金は、自営業者など国民年金の第1号被保険者が加入できる、老後の所得を補うための確定給付型の年金制度です。加入時に将来の給付額が確定しており、終身年金や一定期間年金など複数のタイプから選択できます。長生きすればするほど受け取る総額が増える仕組みで、運用リスクが小さいことが魅力です。
 
一方で、掛金が比較的高めで、原則途中でやめられないため、収入の変動が大きい自営業者には負担になる可能性があります。
 
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自らが選んだ金融商品で掛金を運用し、加入期間10年以上で原則60歳以降に年金や一時金として受け取る制度です。
 
掛金は全額所得控除の対象で運用益も非課税、受取時にも税優遇が受けられます。運用次第で資産を大きく増やせる可能性があり、節税効果も高い点が魅力です。ただし、元本割れのリスクがあり、60歳まで引き出せないという制約もあります。
 

お金の観点で比較する

付加年金は掛金が月400円と3つのなかで最も安く、少ない負担で確実に増やせるというコスパのよい仕組みです。
 
国民年金基金は毎月数千~数万円の掛金が必要ですが、給付額が確定しているため、長期的な安心感があります。
 
iDeCoは運用成果次第で資金が増減しますが、税制優遇による「今の節税効果」と「将来の資産形成」を両立できる点で強みがあります。
 
税制面では、いずれの制度も掛金が所得控除の対象となり、支払うお金が「将来の年金」と「今の節税」の両方に働きます。
 
リスク面を見ると、付加年金は元本割れの心配がなく安心です。国民年金基金は給付確定型で安定していますが、インフレ時には実質価値が下がる可能性があります。iDeCoは運用成績に左右されるものの、長期運用によって複利効果を期待できます。
 
なお、付加年金と国民年金基金は併用できませんが、iDeCoとは組み合わせが可能です。iDeCoの掛金には、加入者区分ごとに限度額が定められています。
 
自営業者(第1号被保険者)がiDeCoに国民年金基金または付加年金を組み合わせる場合は、7万5000円(2025年より、これまでの6万8000円から引き上げ)を上限とする合計枠が設けられています。例えば、国民年金基金に3万円拠出している場合、iDeCoには残りの4万5000円まで拠出できます。
 

どの制度が「得」かを考える

安定した収入があり、将来に向けてしっかり備えたい人には、国民年金基金とiDeCoの併用が有力な選択肢で、堅実な給付と運用による成長の両立が狙えます。
 
家計に余裕が少ない人は、まず付加年金から始めるのが現実的です。月400円という低負担で確実に年金額を上乗せでき、長期的に継続すれば少額ながらも確実にプラスになります。
 
運用に興味がありリスクを許容できる人は、iDeCo中心に資産形成を設計するとよいでしょう。税制メリットが大きく、長期的には効率的な老後資金づくりに役立ちます。
 

自分に合った制度で、将来に備えよう

どの制度を選ぶかは、「支払える掛金の範囲」「収入の安定性」「リスクの取り方」で決まります。まずは無理のない金額から始め、生活や収入に余裕ができた時点で増額を検討しましょう。
 
税制優遇を生かしつつ、現在の家計に無理をかけずに将来の安心を増やすことが大切です。老後資金づくりは、早く始めるほど効果が高くなります。小さく始めて、着実に将来受け取る年金や資産を育てていくことは、自営業者にとって現実的かつ賢い選択といえるでしょう。
 

出典

日本年金機構 付加保険料の納付
国民年金基金連合会 国民年金基金 国民年金基金制度とは?
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCoってなに? iDeCo(イデコ)の特徴
金融庁 令和7(2025)年度税制改正について -税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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