仕事を辞めて、毎月2万円近い「国民年金保険料」を払うのが厳しい…免除制度があると聞いたのですが、保険料を免除してもらったら将来の年金はまったくもらえなくなるんでしょうか?
本記事では、国民年金保険料の免除制度の仕組みと、免除を受けたときの将来の年金額への影響、そして安心して制度を利用するために知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
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まず知っておきたい「国民年金保険料の免除制度」の基本
国民年金保険料の免除制度とは、何らかの事情で経済的に保険料を支払うことが困難な場合に、申請をすることで、全額または一部を免除してもらえる制度です。免除対象には、前年の所得が一定額以下の場合や失業などで収入が減少した場合が含まれます。
具体的には、「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」といった免除割合があります。また、20歳以上50歳未満で本人および配偶者の前年所得が一定額以下の場合には、保険料の納付を猶予する制度もあります。
免除申請は、本人・配偶者・世帯主の前年の所得などを基に審査され、承認を受ける必要があります。この制度を利用すれば、支払いの負担を軽減しながら、制度上「未納」扱いになる状況を回避できる可能性があります。
免除を受けると将来の年金額への影響はどのようになるか?
保険料の免除を受けた場合、その期間が老齢基礎年金(将来受け取る国民年金部分)にどう影響するのか、重要なポイントです。まず、免除を受けた期間は「受給資格期間(年金をもらうために必要な期間)」には算入されます。
つまり、免除を受けた期間があっても、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合計した受給資格期間が10年以上あれば、将来老齢基礎年金を「受け取る権利」そのものは完全になくなるわけではありません。
ただし、免除を受けると年金額には影響が出る場合があります。例えば日本年金機構によれば、全額免除の場合は、保険料を全額納付したケースの年金額の「2分の1」が支給されるという説明があります。
一方、「納付猶予」のみを受けた場合には、年金額には反映されないとの記載があります。
つまり、免除を受けても、受給資格期間を満たしていれば、将来まったく年金をもらえないわけではありませんが、全額納付した場合と比べれば年金額が少なくなる可能性はあります。
現在「仕事を辞めた状態」で免除制度を使うために押さえるべきこと
仕事を辞めて保険料負担が重く感じる状態では、免除制度を利用するメリットは大きいですが、次のような点に注意しておくと安心です。
まず、免除制度は必ず申請して承認を受ける必要があります。申請せずに「支払えないから未納でいいか」と放置すると、未納期間として扱われ、老齢基礎年金の受給資格期間にも算入されず、年金額にも反映されなくなってしまいます。
次に、免除の割合ごとに将来反映される年金額が異なる点や、追納を行えるかどうかについても確認が必要です。経済的に回復したときに「追納」することで年金額を満額に近づけることができます。
最後に、免除申請には本人・配偶者・世帯主の前年の所得状況が審査されます。申請は原則として毎年度必要となるため、注意しましょう。
まとめ
仕事を辞めて月2万円近くの国民年金保険料を支払うのが厳しいとき、国民年金保険料免除・納付猶予制度を使うことで保険料の支払い負担を軽くしつつ、将来の年金受給資格を維持することが可能です。
ただし、「申請手続きをしない」「未納放置」のままでは受給権自体を失うリスクがあります。免除を受けた場合も、受給資格期間を満たしていれば年金はまったくもらえなくなるわけではありませんが、受給額が減る可能性があることは理解しておきましょう。
制度を正しく使うためには、申請方法や所得基準を確認し、将来の年金額やライフプランを視野に入れて判断することが重要です。仕事を辞めた状況でも、焦らず制度を活用しつつ、今後の生活設計に備えて準備を進めていきましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
