久しぶりに実家に帰ったら、一人暮らしの母が相談なく年金を「繰上げ受給」していた! 今から取りやめることはできますか?
結論から言うと、老齢年金の「繰上げ受給」について、繰上げ請求後にその選択を取り消すことはできません。このため、母親の状況をどう整理し、家族として今後どのような対応が可能なのかを確認することが重要です。
本記事では、繰上げ受給の制度の仕組み、今できるステップ、家族として押さえるべきポイントについて解説します。
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繰上げ受給とは何か、そして取り消しは可能か
まず、「繰上げ受給」とは、原則として65歳から受け取ることができる老齢年金を、希望すれば60歳~65歳になるまでの間に繰り上げて受け取り始めることができる制度です。早く受け取れる分、年金額は月単位で減額され、そのまま生涯にわたって減った金額で支給されるのが特徴です。
ここで気になるのが、「すでに繰り上げた年金を今からやめることができるのか?」という点ですが、日本年金機構の公式な説明によると、繰上げ請求をした後は、それを取り消すことはできません。制度上、繰上げ受給を一度始めてしまうと、その選択を後から撤回することはできないのです。
家族としてどう対応するか
取り消しができないと分かった今、家族としては母親の今後の生活設計をどうサポートできるかを考える必要があります。
まず、母親が年金をいつから受け取り始めたのか、受給しているのが老齢基礎年金なのか、老齢厚生年金も含まれているのかなど、受給内容の確認が重要です。繰上げ受給によって減額された年金は、一生そのままの金額が支給され続けるため、家計に与える影響は少なくありません。
次に、今からできることとして、他の収入源の確保や支出の見直しを検討することが現実的な対応策です。例えば、貯蓄や退職金の取り崩しを含めた資金計画を立てたり、固定費の見直しを行ったりすることが考えられます。
また、年金以外に就労収入がある場合には、厚生年金保険への加入を続けることで、将来的に年金額が増える可能性もあります。ただし、これらは個人の状況によって異なるため、具体的な対応を検討する際には、必要に応じてファイナンシャルプランナーなど専門家に相談するのが安心です。
さらに、今後同じようなことが起きないよう、なぜ母親が家族に相談せずに繰上げ受給を選んだのか、その理由をしっかり聞くことも大切です。
例えば、「今すぐに現金が必要だった」や「健康状態に不安があった」といった事情があったのかもしれません。背景を理解することで、家族としてどう支えていくかを考えやすくなります。
また、繰上げ受給の請求に関する書類や、実際に支給が始まった時期を確認しておくことも、今後の管理や手続きに役立ちます。書類の所在を確認し、今後の生活設計の資料としてきちんと保管しておくとよいでしょう。
まとめ
母親が自分に相談なく「繰上げ受給」を選択していた場合、制度上その選択を後から取り消すことはできません。これは、日本年金機構が明確に定めているルールです。
そのため、現実的な対応としては、現在の年金額や生活費、今後の収入と支出のバランスを見直し、必要に応じて他の制度や支援を活用することが求められます。
制度の仕組みを正しく理解し、限られた条件の中でも前向きに生活設計を立て直すことが大切です。そして、今後は大切なことを家族で共有し、安心して老後を過ごせるように、信頼関係と情報の共有が何よりの備えになります。
もし不安な点があれば、迷わず年金事務所などの公的な窓口に相談してみましょう。プロの助言を得ることで、今後の選択肢が広がるかもしれません。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
