50歳で夫を亡くし、“月5万円”の「遺族厚生年金」とわずかなパート代で生活しています。遺族厚生年金が“有期給付”になるそうですが、55歳で打ち切られてしまうのでしょうか…?

配信日: 2025.10.28
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50歳で夫を亡くし、“月5万円”の「遺族厚生年金」とわずかなパート代で生活しています。遺族厚生年金が“有期給付”になるそうですが、55歳で打ち切られてしまうのでしょうか…?
遺族年金は、家計を支える人が亡くなった際、残された家族が路頭に迷わないための国のセーフティーネットです。その制度内容が見直され、遺族厚生年金が5年の有期給付になるようですが、50歳の人は55歳で支給が打ち切られてしまうのでしょうか。
 
本記事では、年金制度の見直し内容とその対象、遺族年金の平均年金月額と必要となる生活費を解説します。
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年金制度の見直しを受けて遺族厚生年金は「5年間の有期給付」に

令和7年6月13日に成立した年金制度改正法を受け、遺族厚生年金制度が見直されます。
 
厚生労働省によると、現在は女性の場合、29歳以下で配偶者と死別した人は5年間の有期給付、30歳以上で死別した人は無期給付となっています。男性の場合、55歳以上で死別した人は60歳から無期給付となり、54歳以下で死別した人は給付されません。
 
しかし、見直し後は性別にかかわらず59歳以下で死別した人に有期給付されるようになります。期間は原則5年間です。ただし、障害のある人や収入が十分ではない人など配慮が必要な場合は、有期給付終了後も引き続き受給可能です。
 
継続給付は単身で、就労収入が月額約10万円以下の人は全額支給され、収入の増加に応じて年金額が調整されます。なお、60歳以上で死別した場合は現行通り無期給付です。
 
また、死亡した人の厚生年金加入記録の一部が残された配偶者の将来の年金に上乗せされる「死亡分割」も導入されます。さらに、新たに有期給付加算が上乗せされるため、有期給付額は現在よりも約1.3倍になる見込みです。
 

見直しの対象になるのはどんな人?

厚生労働省によると、遺族厚生年金の見直しには、段階的な施行を予定しています。令和10年4月から、20年かけて行う予定です。
 
女性の場合、有期給付の対象となるのは令和10年度末時点で39歳以下、かつ18歳年度末までの子どもがいない人となっています。見直しにより、推計で年間約250人の30代の女性が対象となる見込みです。
 
また、男性で有期給付の対象となるのは施行後に妻を亡くした18歳年度末までの子どもがいない20~50代の人となっています。対象者は推計で年間約1万6000人です。
 
今回の制度改正では影響を受けない人もいます。
 

・現在遺族厚生年金を受給している人
・遺族厚生年金の受給権が60歳以降に生じる人
・18歳年度末までの子どもを養育中の人の給付内容
・令和10年度に40歳以上になる女性

 
タイトルにある方の場合、すでに遺族厚生年金を受給しているため、55歳で打ち切られる心配はないでしょう。
 

遺族年金の平均年金月額は“8万2569円”! 生活していくためにはいくら必要?

厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度末現在の遺族年金の平均年金月額は8万2569円でした。一方、総務省統計局の家計調査によると、2024年の単身世帯の消費支出は月平均16万9547円です。
 
つまり、一人暮らしで平均的な水準の遺族年金をもらっている場合、8万6978円程度は稼ぐ必要があります。掲題のケースは月5万円のため、最低でも11万9547円の稼ぎが必要になるでしょう。
 

まとめ

令和10年4月から、男女差をなくすことを目的として、性別にかかわらず59歳以下で死別した配偶者は原則5年間の有期給付となります。
 
ただし、女性については段階的な移行措置が設けられており、2028年4月以降、有期給付の対象年齢が徐々に引き上げられる予定です。遺族年金はこれまでの生活水準を守るために必要な給付になります。いざという時のために、新制度への理解を深めましょう。
 

出典

厚生労働省 遺族厚生年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方
厚生労働省 法律説明資料(概要版)
厚生労働省 令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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