大学生の息子に「バイト代で年金を払うのが難しいから代わりに支払ってほしい」と言われました。一般的に親が支払うケースは多いのでしょうか?
ただ、勉強や就職活動、生活のサポートなどでアルバイト収入が少ないと、「自分で払えないから親にお願いしたい」と考えることも少なくありません。では、一般的に親が子どもの年金保険料を代わって支払うケースは多いのでしょうか。そして、それは制度的・税制的にどう扱われるのでしょうか。
今回は、大学生の子どもを持つ親として押さえておきたいポイントを、制度の解説も交えてわかりやすく整理します。
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子どもが大学生でも国民年金の支払い義務はあるのか
日本では、20歳以上60歳未満のすべての人(自営業者・フリーランス・学生を含む)は、国民年金に加入し保険料を支払う義務があります。たとえ大学生でアルバイト中心の生活だとしても、例外ではありません。
学生の納付状況をみると「学生納付特例制度」を使って支払いを猶予している人も多くいます。つまり、大学生であって「年金を払っていない」という状態があるわけではありません。
支払いが難しい状況なら、「学生納付特例制度」という制度により、在学中の保険料納付を猶予することができるので利用を検討してみるとよいでしょう。
ただし、猶予された期間は年金の「受給資格期間」には算入されるものの、将来受け取る年金額には影響が出る可能性があります。
親が代わって保険料を支払うケースはあり?
息子がバイト代で年金払えない場合、親が支払っていいの?と迷う方は多いようです。実際、親が子どもの代わりに保険料を納付することは可能です。たとえば、その場合、支払額が親の“社会保険料控除”として適用できます。
親が支払う際のメリット・注意点
親が代わりに保険料を支払うことには、具体的なメリットがあります。親が支払った国民年金保険料は、親の「社会保険料控除」の対象となり、所得税・住民税を減らす効果が期待できます。
ただし、注意すべき点もあります。第一に、控除を受けるには「親が子どもと生計を一にしている」ことが条件です。必ずしも同居していなくてもよいですが、生活費の仕送りなどで実質的に生計を共にしていると判断される必要があります。
第二に、親が支払っているという証拠として、名義・口座の管理などを正しくしておかなければ、控除が受けられない可能性があります。
第三に、学生本人が「学生納付特例制度」を申請していた場合、親が支払うことでその制度利用のメリットを失う可能性もあるため、どちらが有利かを比較検討することが大切です。
また、将来を見据えた観点からは、親が支払ったとしても、就職後に本人が厚生年金加入等に切り替わった際、二重納付にならないかの確認も必要です。
まとめ
大学生の子どもが「バイト代だけでは年金保険料を払えそうにない」と訴えてきたとき、まず考えるべきは「制度を活用して本人にとって最も負担が少ない道は何か」という視点です。親が代わって支払うことは可能で、なおかつ節税というメリットもあります。
しかしまずは本人が「学生納付特例制度」の対象となるかを確認しましょう。収入が少なく、学業優先という状況であれば、この制度を利用して在学中の納付を猶予するという選択が合理的です。納付を猶予された期間でも受給資格には算入されるため、将来の障害年金や遺族基礎年金の保障を残すことができます。
次に、家計に余裕があるなら親が支払う方法も検討できます。その際には、支払名義・口座の管理・控除の手続きなどに抜かりなく対応することが重要です。さらに、支払った後の将来設計、例えば子どもが就職したら厚生年金に切り替わる可能性や、追納の必要性なども見据えておくと安心です。
家族でよく話し合い、収入・支出・将来設計を踏まえて判断することが、大学生の子どもの年金支払いにおいて最も現実的で安心な対応と言えるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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