企業年金と厚生年金は何が違うの? 制度の仕組みや受け取り方について詳しく解説

配信日: 2025.10.29
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企業年金と厚生年金は何が違うの? 制度の仕組みや受け取り方について詳しく解説
会社員として働いていると、「厚生年金」という言葉は日常的に聞きますが、「企業年金」という言葉になるとピンとこない方も多いのではないでしょうか。
 
実は、これらは老後に受け取るお金(=年金)として大きく異なる制度であり、それぞれの仕組みを理解しておくことが、安心の老後につながります。
 
本記事では「厚生年金」と「企業年金」の違いを、制度の位置づけ、加入・拠出・受給の面からわかりやすく整理し、受け取り方や税制の違いも含めて解説します。
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そもそも「厚生年金』と「企業年金』とは何か?

まず、「厚生年金」と「企業年金」がそれぞれ何を指しているかを整理しましょう。
 
「厚生年金」とは、国家が運営する公的年金制度のひとつで、会社に勤める被用者(社員)や公務員などが加入するもので、基礎年金(=国民年金)に上乗せして受け取る年金部分です。
 
一方、「企業年金」とは、会社(企業)が従業員のために任意で用意する私的な年金制度で、公的年金(国民年金・厚生年金)に“プラス”して支給される「上乗せ年金」という位置づけです。
 
日本の年金制度は「3階建て構造」と言われることがあります。1階が国民年金(基礎年金)、2階が厚生年金(被用者年金)、3階が企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)等の上乗せ制度というわけです。
 
つまり、厚生年金は会社で働く人すべてに原則加入義務がある公的制度で、企業年金は会社が導入しているかどうか、内容がどうかによって異なる“任意”制度ということになります。
 

具体的に何が違うか?

両制度を比較してみると、以下のような違いが見えてきます。まず加入義務の観点では、厚生年金は働く多くの会社員が加入義務を負っています。会社と従業員が保険料を折半して納付する仕組みです。
 
それに対して企業年金は、企業が導入を決めているかどうかに依存します。つまり、「すべての企業に企業年金がある」というわけではありません。
 
次に制度設計・拠出の観点です。厚生年金では保険料の額が給与や賞与に連動し、支払う保険料・将来受け取る給付額の目安が公的に定められています。
 
企業年金の場合、制度の種類により「将来受け取る金額があらかじめ決まっている」もの(確定給付企業年金)や「拠出額は決まっているが運用結果により給付額が変動する」もの(確定拠出年金)などがあります。
 
また、企業年金の中にはかつて「厚生年金基金」という制度もあり、これは厚生年金の一部代行+上乗せ給付を行うものでしたが、制度が縮小傾向にあります。
 
このように、「誰が・どこまで・どのように負担・運用・給付するか」が、厚生年金と企業年金で大きく異なっています。
 

受け取り方・給付内容・税制上の違い

では、受け取り方や給付内容、税制面においてどう違うのでしょうか。まず給付内容ですが、厚生年金では、原則として60歳(受給開始年齢)以降、老齢基礎年金+老齢厚生年金として毎月年金が支給されます。
 
企業年金の場合、制度によって「年金形式で受け取る」「一時金(退職金のように一括)で受け取る」など選べるものもあります。
 
税制の観点でも違いがあります。公的年金(厚生年金等)は「公的年金控除」の対象となる年金所得です。一方、企業年金を一時金で受け取ると「退職所得控除」対象となることもあり、受け取り方により税制上の扱いが変わります。
 
さらに、企業年金が“上乗せ”であることから、厚生年金だけの受給者と、企業年金もある受給者では、老後の年金額に差が出る可能性があります。
 
最後に、注意点として、企業年金の安定性には企業の経営状況や制度の運用状況も影響するため、「この制度は将来どうなるのか」「会社が倒産したときのリスク」も頭に入れておいた方が良いという指摘もあります。
 

まとめ

本記事では、まず厚生年金と企業年金それぞれの制度の位置づけを整理し、次に加入義務・拠出・運用・給付といった観点から違いを明らかにしました。そして受け取り方・給付内容・税制上の違いについても見てきました。
 
厚生年金は多くの会社員にとって基盤となる公的年金制度であり、その上で企業年金がある場合は「さらに上乗せされた老後の備え」として機能します。そのため、自分の勤務先に企業年金制度があるか、どの種類か、受け取る際にどのような選択肢があるかを把握しておくことは、老後設計を考える上で非常に重要です。
 
今後、人生100年時代と言われる中で「年金だけでは足りない」という声もありますが、厚生年金+企業年金+ご自身の資産形成を三本柱として考えることで、より安心できる老後に近づけるでしょう。まずは自分の会社の制度を確認し、「自分の場合どうなるか」を整理しておくことをおすすめします。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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