専業主婦の母は“一度も”年金を払ったことがないそうです。母は年金をもらえるのでしょうか……?

配信日: 2025.10.30
この記事は約 5 分で読めます。
専業主婦の母は“一度も”年金を払ったことがないそうです。母は年金をもらえるのでしょうか……?
もうすぐ年金を受け取れる年齢になる母から「私は一度も年金を払ったことがない」と聞くと、母は年金をもらえるのだろうか…… と思うかもしれません。一度も年金を払ったことがなく、会社員の扶養に入っている場合、年金はどうなるのか確認してみましょう。
神津喜代子

資産運用の相談業務

資産運用の相談業務のなかで、貯金・生命保険・投資信託・変額年金保険・投資信託・NISAを取り扱い、職員指導も行なった実績を活かし、お客さまから金融商品に限らず、相続などさまざまな相談を受ける。
 
現在も日本FP協会のSGに参加し、研修を継続中。わかりやすく正確な最新情報の提供に努めている。

日本の年金制度

日本の公的年金制度は、2階建てになっています。
 
まず基本1階に、国民年金があります。20歳以上60歳未満のすべての国民が加入し、将来、老齢基礎年金として受け取れます。
 
続いて2階部分に、厚生年金があります。こちらは会社員、公務員などを対象とした、年金制度です。厚生年金に加入することで国民年金にも加入し、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受け取ります。
 
そのほかに、こちらは3階オプションとして、確定給付年金(DB)、確定拠出年金(DC)厚生年金基金付、厚生年金基金、付加年金、国民年金基金、確定拠出年金(個人型iDeCo)などがあります。
 
上記のなかで、すべての国民が加入する制度が国民年金です。
 
加入した年金制度により、
(1階) or (1階+2階)or (1階+2階+3階)
のいずれかの年金を受け取れます。
 
1階部分の国民年金は、老齢基礎年金としてすべての国民が受け取れます。
 
ただし、老齢基礎年金を受け取るためには条件があります。国民年金の加入期間が10年以上ある場合で、基本は20歳以上60歳未満の人が加入します。40年間(480ヶ月)加入することで、満額の老齢基礎年金を受け取れます。
 
したがって、何かの事情で加入していない期間がある場合でも10年の期間があれば、受け取ることができます。その場合、加入した月数により計算された年金を受け取ります。
 

年金制度をもう少し詳しく見てみよう

すべての国民が加入する国民年金ですが、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者のいずれかに該当します。
 
■第1号被保険者
自営業、学生、など厚生年金に加入していない人(第2号被保険者、第3号被保険者に該当しないすべての人です)
 
■第2号被保険者
会社員、公務員など厚生年金に加入している人です。自動的に国民年金にも加入します。
 
■第3号被保険者
第3号被保険者の配偶者で配偶者の扶養に入り、自身が国民年金または厚生年金に加入していない人です。
 
このように、20歳以上60歳未満のすべての人は国民年金の加入者となります。
 

専業主婦(夫)の年金はどのようになるの?

専業主婦(夫)で収入がなく夫(妻)の扶養に入っている場合は、第3号被保険者に該当します。その場合は自身で保険料を払う必要はありません。第2号被保険者である夫が加入している厚生年金制度から支払われています。
 
第3号被保険者に該当している場合は、自身で保険料を払っていなくても、国民年金に加入していた期間として計算され、老齢基礎年金を受け取れます。
 
第3号被保険者に該当する場合は、夫(妻)の勤務する事業主を経由して届け出が必要です。届け出をしないと認められませんので、夫(妻)の会社に確認し必ず行いましょう。
 

<第3号被保険者の歴史と概要>

年金制度は、度々変更されています。第3号被保険者の制度は、1986年(昭和61年)4月1日に基礎年金制度が導入された際にできた制度です。
 
第3号被保険者の期間は、20歳から60歳までの間で夫(妻)に扶養され、第3号被保険者に認められている期間です。20歳から60歳までの間に、第1号被保険者であったり、第2号被保険者であったり、第3号被保険者であったりすることが考えられます。
 
また、結婚して3号被保険者に該当した方でも、次の期間は第1号被保険者または第2号被保険者として、自身で保険料を支払う必要があります。
 

■20歳になってから、結婚するまでの間
■制度が始まる1986年4月1日以前の期間
■夫(妻)が退職し、第2号被保険者でなくなった場合
■夫(妻)が65歳になった場合
■アルバイトなどで、自身の収入が増加した場合(おおむね年収130万円以上)

 
上記のような場合、第3号被保険者ではなく、第1号被保険者または第2号被保険者です。
 

年金加入期間、受け取れる年金額を確認するためには

年金の加入期間、見込み額は、「ねんきん定期便」「ねんきんネット」で確認できます。
 
「ねんきん定期便」は毎年の誕生月に、日本年金機構から年金加入記録、年金の見込み額、のお知らせがはがきで郵送されます。節目の年齢となる35歳・45歳・59歳の年は詳しいお知らせが封書で郵送されます。
 
「ねんきんネット」については、日本年金機構のホームページで登録を行えば、24時間いつでも自宅のパソコンから、年金の加入期間、年金の見込み額を確認できます。
 
年金について確認した際に、自身の記録と相違している、加入した期間が漏れているなどの場合は必ず問い合わせを行いましょう。
 
加入期間が、60歳までに10年(120ヶ月)に足りない場合、または満額受け取れる40年(480ヶ月)に足りない場合、65歳までは任意加入して年金額を増やすこともできます。
 
また、老齢基礎年金の受け取りは65歳からですが、60歳からの繰上げ受給、65歳以降で受け取る繰下げ受給も選択できます。それぞれに、メリット・デメリットがありますので、確認してどのような受け取り方にするかも検討しましょう。
 
ご自身・ご家族の、退職後の長い期間を支えてくれる大切な年金です。年金の記録がどのようになっているか、「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で確認し、安心の老後を送れるようにしましょう。
 

出典

内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 年金の手続。国民年金の第3号被保険者のかたへ。
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています。
日本年金機構 ねんきんネット
 
執筆者 : 神津喜代子
資産運用の相談業務

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問