専業主婦として長年支えてきた夫ももうすぐ65歳、来年4月からは「年金生活」の予定です。現役時代は“月収40万円程度”だったのですが、二人の「年金だけ」でやっていけるでしょうか?
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夫婦2人分の標準的な年金額は“23万2784円
日本年金機構の試算によると、令和7年度における夫婦2人分の標準的な年金額は、月額23万2784円です。この金額は、夫が月収45.5万円(賞与含む)で40年間就業した場合に受け取る老齢厚生年金と、夫婦2人分の老齢基礎年金を合わせた額です。
一方、厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度の男性の平均年金月額は16万6606円、女性は5万2049円です。専業主婦の場合、妻は基礎年金のみを受け取るため、夫婦全体での平均年金月額は約21万8655円となります。
これはあくまで標準的な金額で、実際には各家庭の収入や納付状況によって異なるため、実際の受給額がどの程度になるのかは、個別に確認することが重要です。
現在の水準では“1000万円以上”の「老後資金」が必要!?
総務省統計局「家計調査(家計収支編)調査結果」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な消費支出は、月額25万6521円とされています。一方で、夫婦2人分の標準的な年金受給額は月額23万2784円で、単純に計算しても毎月2万3737円の赤字になる可能性が考えられます。
さらに、年金の受給額が平均的な水準程度(21万8655円)であれば、その赤字は月3万7866円に拡大することになります。こうした差額を補うためには、年金以外の資金を用意しておく必要があるでしょう。仮に老後を30年間と見積もると、約854万円〜1360万円ほどの「老後資金」を準備しておくことが求められるケースも想定されます。
「年金だけ」では足りない?「老後資金」を補う3つの方法
前述のとおり、現在の年金受給額の平均水準では、老後の生活費が足りない可能性があります。不足する「老後資金」を補うためには、以下のような方法が考えられます。
・定年後もなるべく長く働く(ちなみに厚生年金は70歳まで加入できます)
年金だけでは生活費が足りない場合、定年後も働く方法があります。フルタイムでなくとも、午前中のみや週3日など、自分のペースで無理なく仕事を続けるのがポイントです。また、再雇用制度がある職場に在籍していた場合、この制度を利用すれば、慣れた環境で引き続き仕事ができます。
ただし、年金と給与の合計が月額51万円を超えると、老齢厚生年金の一部が停止されることがあるため、これらの制度を理解して働き方や時間を検討しましょう。
・年金の繰下げ受給を検討する
公的年金は受給開始を遅らせる「繰下げ受給」により、年金額を増やせます。増額率は1ヵ月につき0.7%で、最大75歳まで繰り下げ可能なため、最大84%増えます。
ただし、増えた年金は雑所得扱いとなり、その分税金や社会保険料も増える可能性があります。65歳以降も働く場合や、しばらく資産を取り崩せるなら、繰下げ受給は有効な選択肢と言えるでしょう。
・iDeCoなどの私的年金を掛けておく
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を出して運用し、老後資金を形成する私的年金制度です。掛金は全額所得控除、運用益は非課税、受け取り時も税制優遇があり、長く続く老後生活の備えに適しているでしょう。
60歳以降に受け取れるようになり、転職や退職後も継続可能です。将来の年金不足に備える選択肢として、早めの加入を検討してみてもよいかもしれません。
まとめ
老後は、年金だけでは生活費が不足する可能性が高く、平均で1000万円以上の老後資金が必要になるケースもあります。不足分を補うには、定年後も働く、年金の繰下げ受給を検討する、iDeCoなどの私的年金を活用するといった対策が有効です。将来に備えるためにも、早めにご自身の生活スタイルに合った準備を始めましょう。
出典
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(26ページ、27ページ)
総務省統計局 家計調査(家計収支編) 調査結果
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要(18ページ)
日本年金機構 年金Q&A (老齢厚生年金全般) 60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか。
日本年金機構 年金の繰下げ受給
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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