自分が年収500万円、妻が年収300万円で共働きです。仮に40年間「厚生年金」を払い続けた場合、もらえる年金額は具体的にいくらでしょうか?

配信日: 2025.11.07
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自分が年収500万円、妻が年収300万円で共働きです。仮に40年間「厚生年金」を払い続けた場合、もらえる年金額は具体的にいくらでしょうか?
老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。老齢基礎年金は定額ですが、老齢厚生年金は年収と加入年数により変わります。
 
今回は、共働き夫婦の老齢年金について詳しく解説します。
辻章嗣

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

老齢基礎年金

老齢基礎年金の年金額は、20歳から60歳までの40年間の保険料納付済月数により下式のとおり計算されます(※1)。
 
老齢基礎年金額=83万1700円(令和7年度額)×保険料納付済月数÷480月
 
保険料納付済月数とは、以下の期間をいいます。
 

●自営業などの第1号被保険者として保険料を納付した期間
●厚生年金の被保険者である第2号被保険者であった期間
●第2号被保険者の被扶養配偶者であった期間

 
なお、第1号被保険者であった期間において、保険料の免除を受けていた期間は、免除割合に応じて、その期間は年金額に一部のみ反映されます。
 

老齢厚生年金

老齢厚生年金の年金額は、報酬比例部分と経過的加算および加給年金の合計となり、下式のとおり計算されます(※2)。
 
老齢厚生年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金
 
経過的加算は、年金制度改正に伴う調整額でわずかな額となります。
 
加給年金は、一定の要件を満たす配偶者や子に支給される扶養手当に相当するもので、すべての人が対象となるものではありません。
 
報酬比例部分は、厚生年金の被保険者期間中の報酬と加入期間により決定されるもので、老齢厚生年金の基礎となる値です(※3)。報酬比例部分の額は、下式のとおり計算されます。
 
報酬比例部分の額=平均標準報酬額×5.481/1000×加入期間の月数
 
平均標準報酬額とは、計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、加入期間で割って得た額です。
 
標準報酬月額は毎月の給与を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめたもの、標準賞与額は賞与の額から1000円未満の端数を切り捨てたもので、保険料や年金額の計算に用いられます(※4)。
 
したがって、報酬比例部分は厚生年金の被保険者であった期間の平均年収と加入年数によって、下式により概算することができます。
 
報酬比例部分の額≒平均年収×5.481/1000×加入年数
 
なお、標準報酬月額と標準賞与額には上限値が設定されており、すべての収入が年金額に反映されません。そのため、年収1000万円を超えるような高額所得者の場合、平均年収から報酬比例部分の額を概算することはできませんので注意してください。
 

共働き夫婦の老齢年金

共に20歳から60歳までの40年間働いていた夫婦の老齢年金額について、試算してみましょう。夫婦の平均年収は、夫が500万円、妻が300万円とします。
 
夫婦ともに20歳から60歳までの40年間厚生年金の被保険者でしたから、満額の老齢基礎年金83万1700円(令和7年度額)を受給することができます。
 
夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)の額は、下式から109万6200円と見積もられます。
夫の報酬比例部分の額=500万円×5.481/1000×40年間=109万6200円
 
妻の老齢厚生年金(報酬比例部分)の額は、下式から65万7720円と見積もられます。
妻の報酬比例部分の額=300万円×5.481/1000×40年間=65万7720円
 
したがって、夫婦が受給できる老齢年金の総額は、図表1のとおり341万7320円になります。
 
図表1

年金区分 年金額
老齢基礎年金 83万1700円
老齢厚生年金 109万6200円
老齢基礎年金 83万1700円
老齢厚生年金 65万7720円
夫婦 老齢年金合計額 341万7320円

(※1, 2, 3を基に筆者作成)
 

まとめ

厚生年金に加入する共働き夫婦の老齢年金は、夫婦の平均年収と被保険者期間により決定されます。その額は、2人分の老齢基礎年金と夫婦それぞれの平均年収と加入期間によって算出される老齢厚生年金の合計額となります。
 
将来の生活に不安を残さないためにも、早いうちから老後資金の見通しを立て、計画的に備えていきましょう。
 

出典

(※1)日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※2)日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※3)日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
(※4)日本年金機構 厚生年金保険の保険料
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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