退職してから初めて年金を受け取った父が「思っていたより少ない」と驚いていました。月15万円の年金は少ない? そもそも年金額はどうやって決まるの?

配信日: 2025.11.07
この記事は約 3 分で読めます。
退職してから初めて年金を受け取った父が「思っていたより少ない」と驚いていました。月15万円の年金は少ない? そもそも年金額はどうやって決まるの?
定年退職後、老齢年金の受給が始まると、「自分の年金額が想像より少なかった」と感じる人も出てくるでしょう。
 
例えば、今回のケースでは老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせた老齢年金が月15万円ほどとのことですが、これは一般的に見て少ないのでしょうか。
 
年金の支給額は一律ではなく、加入年数や保険料の納付状況、現役時代の報酬額などによって決まります。また、受け取り開始の年齢によっても差が生じます。
 
本記事では、月15万円の年金が平均と比べて多いのか少ないのか、また、年金額がどのように決まるのかを分かりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年金額はどう決まる? 基本は「納付年数」と「収入」

公的年金制度には、国民年金(基礎年金)と厚生年金があります。主に自営業者などが加入するのが国民年金、会社員や公務員などが加入するのが厚生年金です。
 
日本年金機構によれば、老齢基礎年金の満額(令和7年度)は年額83万1700円(月額6万9308円)です。これは、20歳から60歳までの40年間すべて保険料を納付した場合の金額です。
 
これに上乗せされる老齢厚生年金は、現役時代(厚生年金に加入していた時)の報酬額や加入期間などに基づいて計算されます。つまり、長期間高い報酬を得ていた人ほど、老齢厚生年金の支給額も高くなる仕組みです。
 
なお、厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、令和5年度末時点における厚生年金保険(第1号)の受給者平均年金月額は14万7360円となっています。この金額には老齢基礎年金月額が含まれています。
 

月15万円の年金は少ない? 平均との比較

今回の事例における老齢年金が月15万円という金額は、全国平均と比べて極端に少ないわけではありません。前述の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、老齢厚生年金の受給権者のうち、月額15万円未満の層は全体の約52%に達しており、決して少数派ではありません。
 
また日本年金機構によれば、夫が平均的な収入で40年間厚生年金に加入していた場合、モデルケースの年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月額23万円程度となります(令和7年度)。
 
この水準と比べると、単身者や厚生年金の加入期間が短かった人の場合は、月15万円前後になるケースも珍しくないでしょう。したがって、「月15万円だから少ない」と一概に判断することはできず、自身の加入状況や世帯構成などと照らし合わせて考える必要があります。
 

思っていたより少なく感じる理由とは?

実際に受け取る年金額に対して「想像より少ない」と感じる背景には、次のような要因があると考えられます。
 

・期待とのギャップ

退職前は「年金で現役時代の生活水準を維持できる」と考えていても、実際の支給額との差に驚くケースがあります。
 

・繰上げ受給による減額

老齢年金は原則65歳からの受給ですが、60歳から65歳の間で繰り上げて早めに受け取る「繰上げ受給」を選ぶと、その分、月々の年金額は減額されます。
 

・保険料未納期間の影響

保険料を未納または免除していた期間がある場合、年金額に反映される金額が少なくなる可能性があります。
 
こうした事情を把握せずに年金を受け取り始めると、実際の支給額との間に違和感を覚えることが多いのです。
 

まとめ:自分の年金額は「納得」して受け取る準備を

老齢年金の支給額は、加入状況や報酬実績などによって人それぞれ異なります。月15万円という受給額は、全国的に見ても珍しい金額ではなく、むしろ平均に近い層に多く見られる水準です。
 
重要なのは、年金の仕組みを事前に理解し、自分が将来どのくらい受け取れるのかを把握しておくことです。日本年金機構の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」では、将来の受給見込額を確認できます。
 
年金だけに頼るのではなく、必要に応じて貯蓄や就労継続、家計見直しなどを含めた準備をしておくことで、「思っていたより少ない」という不安を和らげることができるでしょう。
 

出典

日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II.厚生年金保険(2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号)受給者平均年金月額の推移(8ページ)、(参考資料3)厚生年金保険(第1号)男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数(26ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問