アルバイト生活で国民年金しか払ってこなかった結果、年金が月5万円…。若い頃から正社員になっておけばよかったです。65歳過ぎてできる対策はないですよね?
特に、正社員として厚生年金に加入していた人との間には、受け取る金額に明確な差が生まれるのが実情です。
では、65歳を過ぎた今からできることは本当にないのでしょうか。本記事では、老後資金の現状と今からでも取れる現実的な選択肢を見ていきます。
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目次
年金だけでは足りない月5万円の現実
自営業や非正規雇用者が加入する国民年金の満額は、40年間すべて納付しても月額6万9308円です(令和7年度)。実際には免除や未納期間がある人が多く、厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均受給額は月5万7700円(老齢年金・25年以上)にとどまります。
一方、会社員として厚生年金に加入していた人の平均受給額は月14万7360円です。つまり、働き方の違いがそのまま老後の所得格差として表れます。
国民年金だけでは、食費・光熱費・医療費を支払えば生活費がほぼ尽きる水準です。加えて物価上昇が続く現在、実質的な生活水準はさらに厳しくなっています。したがって、老後に「年金だけで生活できる」と考えるのは現実的ではありません。
厚生年金に入っていた人との違いとは
正社員やフルタイム勤務の人が加入する厚生年金は、国民年金に上乗せされる形で給付されます。厚生年金の保険料は給与に比例して計算され、勤務期間が長く報酬が高いほど将来受け取る受給額が増える仕組みです。
そのため、若い頃から正社員として働き続けた人は、老後に安定した年金収入を得やすい傾向にあります。一方、アルバイトやパート中心の働き方では、厚生年金の加入要件を満たさない期間が長くなり、結果として年金額が低くなることが少なくありません。
特に、女性や非正規雇用者は出産や介護で就業が途切れがちなため、年金加入期間が短いケースが多いです。こうした労働形態や雇用形態の違いが積み重なり、老後の年金格差が生まれているといえます。
65歳以降でも取れる現実的な対策
65歳を過ぎると「今からでは遅い」と感じるかもしれませんが、まだできる対策はいくつかあります。
まず、年金の「繰下げ受給」を検討する方法です。受給開始を最長75歳まで遅らせることで、1ヶ月あたり0.7%ずつ年金額が増額されます。健康状態が良好で働く意思がある場合には、有効な選択肢となります。
また、未納期間がある場合には、過去10年以内の分を「追納」することが可能です。追納することで、将来的な受給額をわずかでも増やすことができます。
さらに、老後も働き続けることで収入を補う選択肢もあります。近年は高齢者の雇用環境が改善されており、短時間勤務やシニア向けアルバイトも増加しているため、年金受給と就労を組み合わせて家計の安定を図ることが可能です。
加えて、投資信託や個人年金保険などの資産運用を通じて、私的な年金を補うことも重要です。少額からでも始めることで、老後資金の不足分を補うことができます。
若い頃の働き方が老後収入を左右する
若い頃の働き方が、老後の経済的安定を左右するのは確かです。正社員として長期間厚生年金に加入している人は、将来受け取る年金額が安定しやすい傾向にあります。
ただし、必ずしも正社員でなければいけないというわけではありません。近年は、非正規でも一定の条件を満たせば厚生年金に加入できる制度改正が進んでいます。そのため、働き方の選択肢を広げつつ、できるだけ早く公的年金の加入期間を確保することが大切です。
老後の生活は、現役時代の選択の延長線上にあります。キャリアの途中であっても、年金の加入状況や受給見込み額を定期的に確認し、将来を見据えた資産形成を行うことが重要です。
65歳からでもできる対策はある! 早めに年金と生活費を立て直そう
国民年金だけの受給では、老後の生活費を十分にまかなうのは難しいのが現実です。しかし、65歳を過ぎても繰下げ受給や未納分の追納、働き続けること、資産形成などできる対策はいくつかあります。
大切なのは、「もう遅い」と諦めないことです。今からでも一歩踏み出すことで、将来の不安を少しずつ減らすことができます。年金だけに頼らない、複数の収入源を持つことを意識した老後設計を進めていきましょう。
出典
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
