定年後も続けていたパートを辞め「年金生活者支援給付金」の対象となったはずなのに請求書が送られてきません。月5000円ほどの上乗せ額をあてにしていたのですが…自動的に振り込まれるんでしょうか?

配信日: 2025.11.16
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定年後も続けていたパートを辞め「年金生活者支援給付金」の対象となったはずなのに請求書が送られてきません。月5000円ほどの上乗せ額をあてにしていたのですが…自動的に振り込まれるんでしょうか?
定年後、ずっと続けていたパートを辞めて、いよいよ年金のみの生活に移る――そんなとき、年金に「少しでも上乗せがあれば助かる」と思っている方も多いでしょう。
 
実は、一定の要件を満たした場合に基礎年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」という制度があります。この制度は新たに支給対象になったからといって、自動的に給付金が振り込まれるものではありません。
 
この記事では、「年金生活者支援給付金」の制度の仕組みや手続きの流れを分かりやすく解説します。
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まず整理:「年金生活者支援給付金」とは何か。どのような人が対象か

「年金生活者支援給付金」は、消費税率引き上げ分を活用して、公的年金等を含めた収入やその他の所得が一定基準以下の方に、年金に上乗せして支給する制度です。
 
「年金生活者支援給付金」には、「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金」、「障害年金生活者支援給付金」、「遺族年金生活者支援給付金」があり、それぞれに支給要件が定められています。ここでは、「老齢年金生活者支援給付金」について解説します。
 
厚生労働省によると、「老齢年金生活者支援給付金」の支給対象となるには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。
 

(1)老齢基礎年金を受給している65歳以上の方
(2)同一世帯全員が市町村民税非課税であること
(3)前年の公的年金等収入とその他の所得との合計額が「昭和31年4月2日以後生まれの方は90万9000円以下」「昭和31年4月1日以前生まれの方は90万6700円以下」であること

 
給付額の目安として、厚生労働省によれば、「月額5450円を基準に、保険料納付済期間等に応じて計算される」としています。
 
このため、「月5000円ほど上乗せがあるかもしれない」と期待されたケースも制度設計としてあり得ます。ただし、これは誰もがこの額を受けられるわけではなく、保険料納付済期間や免除期間などによって給付額は変わります。
 

「年金生活者支援給付金」は自動支給されない! 請求手続きの流れを確認

重要なのは、この「年金生活者支援給付金」が自動的に振り込まれるわけではないという点です。日本年金機構のホームページには「年金生活者支援給付金を受け取るには、年金生活者支援給付金請求書の提出が必要です」と明記されています。
 
具体的には、「年金生活者支援給付金」の支給対象となった場合、令和7年度では9月1日から順次、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送られます。請求書が届いたら、必要事項を記入して、切手を貼ってポスト投函することで、認定請求の手続きが完了となります。
 
通常、請求した月の翌月分からの支給となるため、手続きを早めに行うことが推奨されています。
 
今回のように請求書が届かない主な理由としては、所得要件や同一世帯全員が市町村民税非課税の条件を満たしていないなど制度の対象になっていない、住所変更などで案内が届いていないなどが考えられます。
 
また、世帯の構成変更や税額の更正などによって支給要件に当てはまるようになった場合は、自身で「年金生活者支援給付金」の認定請求手続きをする必要があります。不明な点がある場合は、必要に応じて最寄りの年金事務所に相談しましょう。
 

まとめ

結論として、新たに「年金生活者支援給付金」を受け取るためには、対象要件を満たしているだけでなく、請求手続きが必要であるという点をまず押さえておくべきです。
 
また、月5000円程度の上乗せを期待していたとしても、「老齢年金生活者支援給付金」の給付額は基準額「5450円」を基に、保険料納付済期間や免除期間などによって変動します。つまり、必ず5000円程度上乗せされるという保証はなく、むしろ少ない金額になる可能性もあります。
 
年金への上乗せという点ではプラスですが、手続きを放置しておくと見込み額が支給されず、機会を逃すこともあります。定年後の生活設計として、この給付金をあてにするなら早めに請求書の到着・提出を確認し、必要であれば最寄りの年金事務所や日本年金機構の相談窓口に連絡するとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
日本年金機構 年金生活者支援給付金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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