40歳の誕生月に届いた「ねんきん定期便」で将来の年金額が「月8万円」と知ってビックリ! 大学時代保険料を免除してもらっていた期間があるのですが、今から追納することはできますか?
「今からでも追納できるのか」「追納すべきかどうか」などの疑問に応えるため、今回は40歳で学生時代に保険料の納付猶予期間がある人の「追納」の可能性とその効果を整理します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
学生納付特例制度の利用があると年金額はどう変わる?
大学生のときは収入が少なく、国民年金の保険料を納めるのが難しい場合があります。そのようなときに利用できるのが、学生納付特例制度です。この制度を利用すると、在学中の保険料を支払わずに済みますが、その分、将来受け取れる老齢基礎年金額に影響します。
日本年金機構によれば、学生納付特例制度の承認を受けた期間は、将来的な年金受給資格期間にはカウントされます。ただし、保険料を実際に納めた期間とは扱いが異なります。つまり、老齢基礎年金額の計算の対象となる期間には含まれないのです。
例えば、保険料を40年間(480ヶ月)納めれば、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。
しかし、学生納付特例制度を利用した期間があると、その分の月数は年金額に反映されず、将来の受取額が減ってしまいます。40歳になって初めてねんきん定期便をじっくり確認し、思ったよりも年金見込額が少ないと感じるのは、こうした仕組みが関係していることが少なくありません。
追納は可能? 制度と期限を確認
それでは、かつて学生納付特例制度を利用していた期間の保険料を、今からでも納め直すこと(=追納)はできるのでしょうか。
追納制度とは、過去に国民年金保険料の免除や学生納付特例を受けた人が、後から本人の申し出によって保険料を納め直すことができる制度です。追納を行うと、その期間が正式な「納付済期間」として扱われ、将来の年金額が増える仕組みになっています。
ただし、追納できる期間には制限があります。具体的には、追納が承認された月から「前10年以内」の期間に限られます。つまり、すでに10年以上経ってしまった期間については、追納することができません。そのため、今回のケースでは、40歳の時点で大学時代の保険料を追納することは難しいでしょう。
なお、追納の手続きとしては、最寄りの年金事務所に追納申込書と必要な添付書類を提出することで進められます。その後、送付されてくる納付書で金融機関やコンビニなどから支払いを行います。また、追納した保険料は社会保険料控除の対象となるため、所得税や住民税の負担を軽減することも可能です。
追納をするかどうかは、年金額の増加だけでなく、手取り収入や家計の状況、税制上のメリットなども含めて総合的に判断することが重要です。
今からできるアクションと判断ポイント
追納を検討するにあたり、まず行うべきは、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して、自身の保険料納付記録をしっかり確認することです。追納が可能な期間が10年以内にある場合、将来の年金額を増やすことができる可能性があります。
日本年金機構によれば、例えば1年分(12ヶ月)を追納した場合、学生納付特例の期間であれば、将来の老齢基礎年金額が年間で約2万円増えるということです。月額に換算すると1600円程度ですが、生涯にわたって受け取る年金額のベースが上がるという点では、非常に大きな意味を持ちます。
一方で、今回のケースのように、すでに大学時代から10年以上経過しており、追納できる期間がない場合には、別の備え方を考える必要があります。例えば、厚生年金に長く加入できるように働き方を見直したり、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAなどを活用して老後資金を積み立てたりする方法も有効です。
また、追納する場合は、なるべく早く手続きを行うことが大切です。一定期間が経つと、当時の保険料に経過期間に応じた加算額が上乗せされる場合があり、結果的に負担が増える可能性もあるためです。
まとめ
大学時代に保険料の学生納付特例を受けていたことを忘れていた、あるいは深く考えていなかったという方は少なくないでしょう。しかし、それが将来の年金額に影響するとなると、改めて自分の加入記録を確認し、必要に応じて行動することが求められます。
今からでも追納できる期間があれば、年金額を増やすための有力な手段となりえますし、税制面でのメリットもあります。ただし、すべての人にとって追納が最善とは限りません。納付できるかどうかの期限、費用、将来的な受取額の変化などを見ながら、自分にとって最適な判断をすることが重要です。
まずは、自分の年金記録を確認し、将来に向けた具体的な一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー