国民年金を払っていないと口座が差し押さえになると聞きました。本当に差し押さえられるケースってあるのでしょうか。どんな流れで差し押さえに至りますか?

配信日: 2025.11.20
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国民年金を払っていないと口座が差し押さえになると聞きました。本当に差し押さえられるケースってあるのでしょうか。どんな流れで差し押さえに至りますか?
「国民年金を払っていないと口座が差し押さえられる」という話を聞いたら、不安に感じる人もいるでしょう。実際、未納を放置すると財産の差し押さえに至る可能性があります。
 
しかし、すべての未納者がすぐに対象となるわけではなく、差し押さえまでには明確なステップがあります。本記事では、未納がもたらす金銭的リスクや差し押さえに至る条件と流れを整理し、どのように判断し行動すべきかを解説します。
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国民年金未納がもたらす家計への負担

国民年金保険料の未納は、単に払っていないという問題だけではありません。まず、未納分の保険料が累積し、その期間が長くなると延滞金が発生します。2025年現在、延滞金の利率は納期限の翌日から3ヶ月までは年率2.4%、それ以降は8.7%と高めに設定されているため、支払いが遅れるほど負担は増大します。
 
さらに、未納期間は将来受け取る老齢基礎年金の額に直結します。年金額は納付月数に応じて計算されるため、未納のまま放置すると老後の収入を減るだけでなく、原則として10年以上の加入月数がないと、受給資格を満たせない可能性もあります。
 
そこで、保険料免除制度の利用や追納を行うことが、高齢期の収入確保には重要となります。
 
また、行政側は支払い能力があると判断した未納者に対して、督促を経て強制徴収を行う仕組みを整えています。未納期間が7ヶ月を超えると差し押さえの対象となることが多く、未納を続けることで預貯金や給与、その他の資産を失うリスクが高まります。
 
差し押さえ適用には一定の条件があり、すべての財産が差し押さえられるわけではありませんが、早めの対処が必要です。
 

差し押さえが行われる条件

差し押さえは、誰にでも即実行されるものではありません。一般的には、一定の所得があり支払い能力があるにもかかわらず未納が続いているケースが対象となります。
 
具体的には、控除後の所得が300万円以上で未納期間が7ヶ月以上の人が主な対象です。また、行政からの通知に一切応じていない場合も強制徴収の対象となりやすく、特に未納月数が多い人は優先的に手続きが進むことがあります。
 
未納者の全体数に比べれば差し押さえ件数は限定的ですが、「支払い能力があるのに未納を放置している」と判断された場合は、対象となる可能性が高まります。
 

差し押さえに至るまでの具体的な流れ

差し押さえは段階的に実施され、いきなり預金が没収されるわけではありません。本章では、差し押さえに至るまでの主な手続きの流れを順に確認していきます。
 

1. 催告・納付勧奨

納付期限を過ぎると、まずは電話や書面で未納の案内が届きます。この段階で納付すれば、延滞金も防げます。
 

2. 特別催告状の送付

未納が続くと、色付き封筒の「特別催告状」が届き、納付を促す通知が段階的に強まっていきます。封筒の色が青・黄色・赤と変わることで、状況が悪化していることが分かりやすく示されます。
 

3. 督促状・最終通知

期限までに支払いがない場合は延滞金が発生し、財産の調査や差し押さえの予告が行われます。
 

4. 差し押さえ実行

支払い能力があると判断され、納付にも応じない場合、預金・給与・不動産などが差し押さえられます。特に、預金や給与など換価しやすい財産が優先されます。
 
このプロセスは複数の段階を経るため、いずれかの時点で相談や納付を行えば差し押さえを避けられる可能性は高くなります。
 

差し押さえが与える生活への影響

差し押さえの対象は基本的に本人の財産に限られますが、納付義務の連帯責任や世帯主としての立場により、家族の財産や所得が影響を受けることがあります。したがって、家計全体に及ぼす影響は無視できません。
 
また、給与差し押さえなどが実行されれば、家計の収支が一気に悪化する可能性もあります。生活費が圧迫されるため、早めの対応が重要です。
 
さらに、差し押さえで回収される金額は未納額の全額に達しないことも多く、差し押さえ自体が本人の資産喪失や信用低下のリスクを伴うケースも少なくありません。
 

未納を放置せず、早めに対処しよう

国民年金の未納は、延滞金の発生や将来の年金額の減少に加え、最終的には財産差し押さえという深刻な結果につながる可能性があります。ただし、多くの場合は催告や督促といった通知段階で適切に対応すれば、差し押さえを回避できます。
 
納付が難しい方には免除制度や猶予制度が用意されているため、決して未納を放置せず、早めに年金事務所などへ相談することが生活の安定につながります。月々の保険料は、支出であると同時に将来の収入を確保するための投資と考え、計画的な対応を心掛けましょう。
 

出典

日本年金機構 日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)
日本年金機構 国民年金保険料の延滞金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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