年金を「月16万円」受け取っていた父が死亡。専業主婦だった母は「遺族年金」を月16万円受け取れますか?
そこで、この記事では、専業主婦の妻が受け取れる遺族年金の仕組みと支給額の目安を簡単に解説します。
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
そもそも遺族年金とは?
まず前提として、遺族年金には次の2種類があります。
1つ目が遺族基礎年金と呼ばれるものなります。こちらは国民年金に加入していた人が亡くなったとき、18歳未満の死亡した人に生計を維持されていた子または子のある配偶者に支給されるものです。
また、2つ目の遺族年金が遺族厚生年金です。こちらは厚生年金に加入していた人が亡くなった場合、その方に生計を維持されていた配偶者などに支給されるものです。
遺族厚生年金は、厚生年金に加入していなければならないこととの関係上、父が長年自営業者であったり、会社勤めの期間が少ないなどの場合は、遺族年金がほとんどもらえない可能性もあります。
父が月16万円の年金を受け取っていた場合、母は遺族年金をいくらもらえる?
では、父親が16万円の年金を受け取っていたというケースで、母がいくらの遺族年金を受けることができるのか考えてみましょう。
まず、16万円という時点で、もらっている年金は間違いなく老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受け取っています。
内訳は、個別の事情によって異なるのですが、令和7年度の満額の支給額をベースに、老齢基礎年金をおよそ7万円と仮定します。すると、老齢厚生年金は9万円となります。
そして、遺族厚生年金は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額になります。すると、9万円の4分の3ということで、母が受け取る遺族厚生年金は、おおよそ6万7500円と仮定ができます。
とはいえ、実際に受け取ることができる金額は、その他の事情によっても変動するため、必ず父の年金支給額や支給の内訳などについて、ねんきんネットなどで確認したり、支給条件や額などについて、最寄りの年金事務所などへ相談するようにすることをおすすめします。
遺族年金の受給方法
遺族年金は、該当する際に自動で支給されるわけではなく、請求手続きをすることで初めて支給が開始されるものになります。手続きをしないままでは、母は遺族年金の支給対象者であるものの、実際に支給されることにはならないというわけです。
具体的には、年金請求書のほか、父の住民票の除票など、状況に合わせた書類が必要になります。
また、申請後すぐに支給されるわけではなく、一般的には支給まで3ヶ月前後かかります。遺族年金を受給する際に、支給開始までの生活費をどうするかが問題となることはままあるため、遺族年金について考えるときは、支給手続きの方法と、実際に支給されるまでの生活費をどうするかという点も一緒に考えるべきです。
まとめ
父の受け取っていた年金が16万円だったとしても、母が実際に遺族年金として受け取ることができる額は7万円程度になると推定されます。
とはいえ、年金については遺族年金に限らず、受給額やそもそもの支給の可否は個別の事情によって異なります。また、今後の法改正でそれらが大きく変わる可能性もあります。
それを踏まえ、年金については一度確認して終わりとするのではなく、定期的な情報収集と、制度変更があってもできるだけ困らないような自助努力も併せて行うようにするべきでしょう。
そうすることで、遺族年金について正しく知り、将来について備えていくことができるはずです。
執筆者 : 柘植輝
行政書士