70歳の父が「自分の年金が少ないのは納付漏れかも」と言い出しました。70歳からでも年金って増やせるのですか?
本記事では、年金が少ない原因を確認する方法と、70歳からでもできる年金の増額手続きについて解説します。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
「年金が少ない」と感じたら、まず確認すべきポイント
年金の受給額は、加入期間や保険料の納付状況によって決まります。例えば、令和7年度の国民年金の支給額は満額(480月加入)で月額6万9308円の支給です。厚生年金の場合ですと、標準的な年金額(賞与を含む月額換算45万5000円で40年間就業した場合と仮定)は16万3476円となります。
そのため、70歳で年金が少ないと感じたら、まず「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で自身の記録を確認してみましょう。
その際は、特に未納や免除となっている期間が正しく反映されているか確認しましょう。そのほかにも、転職や結婚に伴う氏名・住所変更の際に記録が途切れていないかなど、本来納付していたはずの期間に未納扱いとなっていないかという点も重要です。
また、過去に複数の会社に勤めていた場合、それぞれの記録が別々に管理され、統合されていないことで、本来よりも少ない年金額になっていることもあります。
この場合、「年金記録の漏れ」として年金事務所に再調査を依頼することで、支給額が増える可能性があります。
このように、自身の年金記録が正しく記録されているかどうかを確認することで、少ないと感じる年金額が間違いであるのか、そうでないかを確認することができます。
70歳からでも年金記録の修正はできるのか
自身で年金の記録を確認した結果、間違いがあることが発覚した場合、70歳という年齢でもその修正をしてもらうことは可能です。間違いがあることが日本年金機構によって認められると、今後受け取る年金額が増えるだけではなく、過去に受け取れていたはずの年金額と実際に受け取った年金額との差額を、あらためて受け取れる場合があります。
ただし、年金の受給権は5年で時効にかかるとされています。そのため、5年以上前の部分は受け取ることができなくなる可能性があります。
仮に月額1万円の差額でも、1年分となると12万円です。少しでも損をしないように、できるだけ早めに対応するべきでしょう。
単純な納付漏れの場合は?
もし、自身が過去、何らかの理由によって年金保険料を支払うことをせず、未納のままとなっていた時期があり、70歳である今に至っているというような場合は、年金を増やすことは現実的には不可能でしょう。
そのため、まだ年金を受け取っていないという場合であれば、繰下げ受給という仕組みによって、受け取り時期を65歳以降に繰り下げることで、ひと月繰り下げるごとに年金額を0.7%増やすことができます。しかし、すでに年金を受け取っている場合は、繰下げ受給もできません。
また、老齢の年金を受けられる加入期間がなく、70歳を過ぎても会社に勤める場合は、老齢の年金を受けられる加入期間を満たすまで任意に厚生年金保険に加入することができます。事業所の所在地を管轄する年金事務所に申請書を出す必要がありますので、詳細は年金事務所に問い合わせるといいでしょう。
まとめ
70歳で年金をすでに受け取っている場合、これから受け取る年金額を増やすことは、老齢年金の受給資格を満たしていないなどでないと現実的には困難です。とはいえ、年金の記録に漏れや誤りがあれば、それを正すことで受け取る年金額を増やせる可能性があります。
もし、支給されている年金額が本来よりも少ないと感じたときは、まず「ねんきんネット」などで記録を確認し、不明点があれば年金事務所で照会・調査を行いましょう。
年金は、気づいたときに動けば本来受け取ることのできた部分を取り戻せる仕組みです。「おかしいな」という気づきと、その際にとる行動こそが大切なのです。
出典
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
執筆者 : 柘植輝
行政書士