年金を「月30万円」もらっている人がいる!?どのような人がこれほど受給できるの?

配信日: 2025.11.24
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年金を「月30万円」もらっている人がいる!?どのような人がこれほど受給できるの?
「老後の生活資金は年金頼り」という方は一定数います。年金のみが収入であり、他の金融資産が少ない場合、どれくらいの額を受給できるかが大きな関心事になるでしょう。
 
「月30万円もの年金を受給している」という状況は、一般的に高水準というイメージがあるかもしれません。本記事では、夫婦2人の平均的な年金支給額や個人で月30万円の年金を受給できる人の割合、どのような人が月30万円の年金を受給できるのかを解説します。
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夫婦2人の平均的な年金受給額

日本年金機構によると、夫婦2人分の場合、令和5年4月分からの平均年金額は老齢基礎年金を含めて「22万4482円」でした。なお、本記事では他の統計資料との整合性を保つため、最新版ではなく同じ年度(令和5年)のデータで統一して引用しています。
 
夫婦の平均の受給額が22万4482円であることを踏まえると、「夫婦世帯で30万円」でも平均を上回る水準です。また、単身の平均年金額は一般的に夫婦2人分より低いため、個人で月30万円を受け取るケースは、ごく一部に限られます。
 

個人で月30万円の年金を受け取っている人はどれくらいいる?

ここからは個人単位で、月30万円の年金額を受け取れる人がどれくらいいるかを見ていきましょう。厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、個人で月30万円以上の年金月額を受け取っている人は、表1の通りです。なお、金額には「基礎年金月額(国民年金)」も含みます。
 
表1

人数
男子 1万3923人
女子 369人
総計 1万4292人

出典:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に筆者作成
 
調査対象者の総数は、1605万4729人でした。表1の総計と比較すると、約0.09%です。つまり、個人で月30万円以上の年金を受け取れる人は非常に少ない割合です。
 
なお同調査の年金額については、人数の多い順に並べると以下の通りです。
 

・10~11万円:112万6181人
・9~10万円:107万9767人
・11~12万円:105万4333人
・17~18万円:105万3851人
・16~17万円:102万6399人
・18~19万円:102万2699人

 
9~19万円の範囲に多くの受給者が集中しています。この分布から見ると、月30万円の年金額はかなり高い水準といえるでしょう。
 

月30万円の年金を受け取る条件

年金制度のおもな構成要素は「国民年金」と「厚生年金」です。国民年金は、国内在住の20歳以上60歳未満の全員が加入し、厚生年金は企業に勤めている人がおもな加入者です。
 
厚生年金に加入している場合、国民年金に厚生年金を加算したものが、将来の年金受給額となります。
 
国民年金の受給額は収入ではなく、保険料の納付期間が判断基準です。加入の上限は40年間(480ヶ月)であり、継続してこの期間の保険料を納付した人が満額を受け取れます。令和5年度の満額は「79万5000円(月額6万6250円)」でした。
 
一方、厚生年金の受け取り額には、保険料を納付した月数以外に、報酬額が大きく関係します。簡単にいえば、給与やボーナスの額が高いほど受給額も高くなります。
 
個人で月30万円の年金に到達するためには、国民年金の満額6万6250円に加えて、厚生年金で「約23万3750円」を受け取らなければなりません。
 

厚生年金と基礎年金のみでは、理論上「月30万円」には届かない

厚生年金(報酬比例)の正式な計算式は以下の通りです。
 
老齢厚生年金(年額)=平均標準報酬額×(5.481/1000)×加入月数
 
この式をもとに逆算すると、平均標準報酬額は以下のように算出されます。
 
平均標準報酬額=老齢厚生年金(年額)/〔(5.481/1000)× 加入月数〕
 
また、厚生年金には以下のように上限があります。
 
・標準報酬月額の上限:65万円(32等級)
・賞与の上限:150万円×年3回まで

 
この金額を40年間フルで適用した場合の厚生年金(報酬比例)の「理論上の最大値」は、「約22万4721円」です。この金額に国民年金の満額6万6250円を足しても、年金の最大合計は「約29万1000円」となり、個人では月30万円には届きません。
 
年金が個人で「月30万円」に到達するのは、厚生年金に加えて、企業年金やかつての厚生年金基金、共済年金などの上乗せ給付を受けている人だと考えられます。
 

企業年金や厚生年金基金などが上乗せされていると、月30万円に到達する可能性がある

個人で年金を月30万円受給できる人は、約0.09%しかいません。夫婦世帯でも、平均の年金額は「22万4482円」であることから、月30万円は高い水準であることが分かります。
 
また、個人で国民年金と厚生年金だけで月30万円に達するのは非常に難しく、満額の国民年金を受け取っても、残り約23万円を厚生年金でまかなう必要があります。これは標準報酬月額の上限に近い等級となる収入を長期間維持した場合の水準であり、多くの人にとって現実的ではありません。
 
そのため、個人で月30万円に達している人の多くは、厚生年金に企業年金やかつての厚生年金基金、旧共済年金などの上乗せ給付が加わっているケースが一般的といえるでしょう。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 (参考資料3)厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数 26ページ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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