夫が平均年収550万円で40年勤務してきました。私はずっと扶養内で働いてきたのですが、受け取れる年金は「夫婦で月いくら」になるのでしょうか?

配信日: 2025.11.27
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夫が平均年収550万円で40年勤務してきました。私はずっと扶養内で働いてきたのですが、受け取れる年金は「夫婦で月いくら」になるのでしょうか?
夫が会社員として働き、妻は扶養内で長年勤務してきたというケースでは、「夫婦で月いくらの年金を受け取れるのか」という点が気になるところでしょう。公的年金は加入期間や収入額によって受給額が変わるため、同じ働き方をしていたとしても家庭によって差が出ます。
 
本記事では、日本の年金制度の仕組みを踏まえながら、提示の条件で受け取れる可能性のある年金水準を整理し、老後に向けた資金計画の考え方について解説します。
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公的年金制度の仕組みと夫婦の働き方で決まる受給額

日本の年金制度は、基礎年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)の2階建て構造です。会社員である夫は基礎年金に加え、給与や賞与に応じた厚生年金に加入するため、勤務年数と収入が受給額に大きく影響します。
 
一方、扶養内で働いてきた妻は、厚生年金の加入期間が短い、もしくは加入していないことが多く、基礎年金が主な受給原資となります。これにより、夫婦の合計受給額は「夫の厚生年金+妻の基礎年金」が主軸となり、妻の年金が比較的少ない点が合計額にも反映される構造です。
 

年収550万円×40年勤務の夫、扶養内の妻の年金見込み

夫が40年間にわたり厚生年金に加入し、平均年収が550万円だった場合について、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」で試算すると、年間197万円という結果になりました。
 
これは老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた金額で、月額にすると約16万円です。実際には賞与や標準報酬月額の変動、加入期間中の勤務状況などにより多少前後しますが、40年という長期加入は受給額を大きく増やします。
 
一方、妻が長期間扶養内だった場合、基礎年金が中心となり、令和7年度の老齢基礎年金の満額は月6万9308円です。厚生年金への加入が短い、または全くない場合は、この基礎年金が妻の主な受給額となります。
 
これらを合算すると、夫婦の年金受給額は夫約16万円+妻約7万円で、月23万円程度が現実的な目安となります。また、日本年金機構が示す令和7年度の厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月23万2784円であり、今回の試算とも大きな隔たりはありません。
 
なお、受給額は制度改革やマクロ経済スライドなどにより将来的に変動する可能性があるため、あくまで現行制度を前提とした目安と考える必要があります。
 

年金だけで生活は可能? 老後資金のギャップを把握する

夫婦2人の年金が月20万円台前半であったとしても、生活費をすべて賄えるかどうかはライフスタイルによって大きく異なります。
 
総務省統計局の「家計調査(家計収支編)2024年」によると、65歳以上の夫婦のみ・無職世帯の1ヶ月の可処分所得は22万2462円、消費支出は25万6521円となっており、収入が支出を約3万4000円上回っています。
 
これを30年間の老後期間に換算すると、不足額は累計で1200万円を超える水準となり、年金のみで生活を維持することは容易ではないことがデータから読み取れます。
 
そのため、老後資金を考える際には「年金受給額」「生活費の実態」「予備費(医療・介護への備え)」「自助努力による資産形成」といった複数の視点から収支計画を立てることが重要です。
 
特に妻の年金額が基礎年金にほぼ限定される働き方だった場合、世帯の受給額は相対的に低くなるため、早い段階から老後資金の準備を進める必要性はさらに高まります。
 

年金受給額を把握し、早めに老後資金を準備しよう

夫が平均年収550万円で40年勤務し、妻が扶養内である場合、夫婦の年金受給額は月20万円台前半と見込まれます。しかし、年金だけで老後生活が十分かどうかは生活環境や将来の制度変動によって変わるため、年金額を過信せず、早めに不足分を補う資産形成を進めることが大切です。
 
まずは、自分たちの年金見込み額を把握し、老後の支出見通しと照らし合わせながら、預貯金や資産運用、就労延長など複数の手段で備えていきましょう。年金額を基準にしつつ、自助努力によって老後の安心を高めることが、今後の夫婦の暮らしにおける重要なステップになるでしょう。
 

出典

日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
厚生労働省 公的年金シミュレーター
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計調査(家計収支編)2024年(令和6年) 家計の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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