現在“浪人中”の息子に「年金」の支払い通知が届いています。数ヶ月放置していますが、支払いの義務や“延滞料”の上乗せなどはあるのでしょうか?
中には「まだ学生や浪人生で収入がないので、支払うことは難しい」という人もいるかもしれません。
本記事では、浪人生の年金の支払い義務についてご紹介するとともに、支払わずに放置した場合の影響や、利用できる免除・納付猶予制度についてもまとめています。
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目次
浪人生にも年金の支払い義務はある?
日本では、国内に住んでいる20歳以上60歳未満の全ての人に、国民年金の加入が義務づけられています。
20歳になると日本年金機構から国民年金に加入した旨を通知され、「基礎年金番号通知書」などが送付されてきます。
日本年金機構によると、国民年金第1号被保険者として加入する必要がないのは「厚生年金保険に加入している人」と「20歳直前で海外に出国した人」、「20歳になったときに厚生年金保険に加入している配偶者の扶養となっている人」です。
つまり、大学生や浪人生であっても上記に当てはまらない場合は、20歳の誕生日の前日が含まれる月の分から、国民年金保険料の支払いを行う必要があります。
保険料の納付期限は、納付対象月の翌月末日までです。
年金の支払いを放置するとどうなる?
「浪人生だから」という理由で国民年金保険料を支払わずに放置すると、電話や文書による案内が送付されます。保険料を支払う能力を持ちながら、繰り返し納付勧奨を実施しても支払わない場合は最終催告状、次に督促状が送られてくるのです。
督促状に記載された期日までに納付しなかった場合、財産が差しおさえられてしまうため注意が必要です。さらに、督促状に記載された期限より後に保険料を納付した場合、納付期限の翌日から納付日の前日までの日数に応じた延滞金が発生します。
令和7年1月1日から令和7年12月31日の期間においては、納付期限の翌日から3ヶ月を経過すると延滞金の割合が2.4%から8.7%へと上がり、支払い金額が高くなるため、できるだけ早い段階で支払うとよいでしょう。
支払いが困難な場合は保険料の免除や納付猶予制度を利用する方法も
浪人生である場合など、本人に収入がなく国民年金の支払いが困難なケースでは、保険料の免除や納付猶予制度を利用できる可能性があります。
制度を利用できるのは、保険料免除では本人・世帯主・配偶者、納付猶予では本人・配偶者の前年所得が一定額以下である場合などです。
免除や納付猶予を受けている期間も老齢基礎年金の受給資格期間にはカウントされますが、納付猶予の場合年金額には反映されません。また、免除された期間がある場合の年金額は、全額納付した場合と比べて低額となります。
そのため、受給資格期間を満たしていれば年金受給の開始時期が遅れることはありませんが、将来もらえる年金の額は少なくなります。なお、免除・納付猶予を受けた期間については、10年以内であれば追納することで、将来受け取る年金額を満額に近づけることが可能です。
また、今回は浪人生ということですが、学校法人の予備校に通っている場合は学生納付特例制度が適用される可能性があります。
学生納付特例制度とは、前年の所得が一定以下の学生を対象とし、申請によって在学中の保険料の支払いが猶予される制度です。日本年金機構によれば、学生納付特例制度の対象となる「学生」とは、以下に在籍する人を指します。
・大学(大学院)
・短期大学
・高等学校
・高等専門学校
・特別支援学校
・専修学校
・公立の各種学校(修業年限が1年以上の課程に在籍が条件)
・都道府県知事の認可を受けた私立の各種学校(修業年限が1年以上の課程に在籍が条件)
・一部の海外大学の日本分校(文部科学大臣が個別に指定した課程)
学生納付特例制度は家族の所得に関係なく利用できるため、在籍する予備校に、適用の可否を確認してみるとよいでしょう。
学生納付特例制度を利用した場合も、10年以内であれば追納が可能です。将来もらえる年金の額を満額に近づけるために、追納することも選択肢のひとつです。
浪人中でも「年金」の支払いを放置し続けると延滞金が発生する可能性がある
日本では、20歳以上60歳未満の全ての人に国民年金に加入することが義務づけられています。
学生や浪人生であっても年金を支払う必要があり、支払わずに放置すると最終的には延滞金が発生したり、財産が差しおさえられたりすることもあります。
支払いが困難な場合は免除や納付猶予制度を利用できる可能性もあるため、適用条件などを確認してみるとよいでしょう。免除・納付猶予制度を利用した場合は将来もらえる年金の額が少なくなるため、追納を検討することも選択肢のひとつです。
出典
日本年金機構 国民年金の加入 20歳到達時の国民年金の手続き
日本年金機構 国民年金保険料の免除・猶予・追納 国民年金保険料の学生納付特例制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー