母から「65歳になったのに“10万円の年金”が振り込まれない」と相談が! 「年金」って“請求”が必要なの!? 手続きが遅れるとどうなる?

配信日: 2025.11.29
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母から「65歳になったのに“10万円の年金”が振り込まれない」と相談が! 「年金」って“請求”が必要なの!? 手続きが遅れるとどうなる?
「65歳」という年齢は、一般的に「年金の受給開始年齢」のイメージが強いかもしれません。ただし、年金は「65歳になったら自動的に振り込まれる」わけではない点に注意が必要です。
 
今回のケースでも、母親から「65歳になったのに10万円の年金が振り込まれない」という相談を受けているようです。
 
この記事では、老齢年金を受給するための基本的な流れを紹介し、「もし手続きが遅れたらどうなるの?」といったケースについても解説します。
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老齢年金を受け取るには「年金請求手続き」が必要

原則として65歳から受給できる老齢年金は主に「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2種類があります。
 
「老齢基礎年金」は、保険料を納入した期間と免除された期間などを合算した「受給資格期間」を「10年以上」有する方が受給できる年金です。「老齢厚生年金」は、老齢基礎年金の受給資格期間を有しており、厚生年金保険の被保険者期間がある方が受給できる年金です。
 
受給に際しては、所定の手続きが必要です。日本年金機構の公式サイトには「年金は受け取る権利(受給権)ができたときに自動的に始まるものではありません。老齢年金を受け取るためには、年金の請求手続きが必要です」と明記されています。
 
老齢年金の受給権が発生する方には、受給開始年齢に達する3ヶ月前に「年金請求書」という書類が届きます。この書類の内容を確認し、必要事項を記入の上、年金事務所へ対面または郵送で提出することで、老齢年金の請求手続きを行えます。また、対象者や条件は限定されているようですが、電子申請によっても請求手続きが可能なようです。
 
なお、厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金の平均受給月額は、令和5年度末時点で男子が「16万6606円」、女子は「10万7200円」とされています。
 

手続きが遅れても原則として「65歳にさかのぼって」年金が支払われる|時効には要注意

もし手続きを忘れていたり、間に合わなかったりした場合でも「受給権を失う」わけではありません。遅れた時期の年金の支払いは一時的に止まるものの、原則として65歳から「1年以内」であれば送られてきた年金請求書で申請すれば、65歳にさかのぼっての支給が可能なようです。
 
なお、66歳を超えても請求は可能ですが、送付された年金請求書では手続きができなくなります。
 
そのため、日本年金機構の公式サイトから「老齢基礎・厚生年金裁定請求書/支給繰下げ請求書(様式第235-1号)」をダウンロードの上、別途の手続きが必要です。同様式の申請書類は「ねんきんダイヤル」にて請求できるほか、最寄りの年金事務所などでも入手できるようです。
 
また、日本年金機構によれば、年金を受ける権利(基本権)の発生から5年を過ぎると、やむを得ない事情がない限り、5年より前の年金を受ける「基本権」が時効により消滅します。将来受け取る年金まで消滅するわけではありませんが、注意しておきましょう。
 

「繰下げ受給」とは異なり“増額”はされない

本来の年金受給開始年齢よりも遅れて受け取る方法として「繰下げ受給」が存在します。こちらは「66歳以後75歳までの間」で受給開始を遅らせることで、受け取る年金を増額できる仕組みです。
 
ただし、66歳以降に請求手続きを行った場合でも、繰下げ受給の希望を出さない場合年金額は増額されず、65歳到達時点の本来の年金額を受給することになります。もし繰下げ受給を希望する場合は、手続きを行った時点で繰下げ増額率が決定されます。
 

まとめ

老齢年金は、受け取る権利(受給権)が発生したときに自動的に始まるものではなく、年金の請求手続きが必要です。「年金請求書」がお手元に届いたら、記入・提出は早めに済ませましょう。老後の年金生活を安心して始めるためにも、公的な手続きはもれなく確実に行うことが大切です。
 

出典

日本年金機構 老齢年金の請求手続き
日本年金機構 年金の時効
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 (参考資料3)厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数(26ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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