扶養内パートで「年収110万円」ほどですが、今後「第3号被保険者」が“廃止される”と聞きました。保険料で「年10万円」ほど引かれるようですが、本当に払う必要があるのでしょうか…?
ここでは、第3号被保険者の見直し状況や、廃止された場合の負担増などについて、最新の政治動向を紹介しながら解説します。
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社会保険の「第3号被保険者制度」の見直しが検討中
厚生労働大臣の諮問機関である「社会保障審議会年金部会」においては、年金の制度改正などについて議論が交わされています。中でも厚生年金の「第3号被保険者制度」については、従前から見直しが検討されていました。
令和6年12月24日開催の「第24回社会保障審議会年金部会」においては、いわゆる「年収の壁」のうち社会保険料に関する「130万円の壁」への対応が議題となりました。その際、保険料を自ら支払う第1号被保険者と、現状では第2号被保険者が保険料を肩代わりしている形となっている第3号被保険者の負担と給付の構造が問題になりました。
加えて、令和7年10月に成立した自民・維新連立政権においては、日本維新の会からの政策要望に、社会保障政策の一環として「第3号被保険者制度の見直し」が盛り込まれており、検討はさらに一歩踏み込んだものになると予想されます。
廃止された場合「年間10万円程度」の負担増の恐れも
同部会の資料では、以下2つの考え方が示されており、第3号被保険者制度自体が大きな転換を迎える可能性は捨てきれないと思われます。
・基本的な対応方針を、第3号被保険者のあり方そのものに着目した何らかの見直しを行う
・「壁」を感じながら働く第3号被保険者が少なくなるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を一層加速化する
廃止となった場合、扶養のいかんに関わらず「第2号被保険者と同等の保険料負担」になることが見込まれます。しかし、現状の厚生年金保険料率は18.3%で、仮に標準報酬が月額8万8000円(1等級)の場合、労使折半でも1ヶ月当たり「8052円」、年間「9万6624円」と、年間で約10万円の負担増となる可能性があるでしょう。
扶養に関しては「年収の壁」の緩和も進行中
政府は、令和7年度税制改正においていわゆる「年収の壁」の引き上げを実現し、具体的には「基礎控除等の引上げ」と「基礎控除の上乗せ特例の創設」を実施しました。
それにより、基礎控除が48万円から10万円引き上げられ58万円に、給与所得控除の最低保障額が55万円から10万円引き上げられ65万円になりました。
これらの引き上げにより課税最低限は123万円となり、さらに、低中所得者層の税負担に配慮し「基礎控除の上乗せ特例」も創設されています。これにより、低所得者層は恒久的措置として課税最低限が160万円に、中所得者層は令和7年・8年の時限措置で「高所得者優遇とならないよう工夫して上乗せ」となりました。
社会保険制度の構造こそまだメスは入っていないものの、別角度からのアプローチもなされており、扶養に関しては今後の動向が注目されます。
まとめ
ここまで第3号被保険者の見直し状況や、廃止された場合の負担増などについて解説しました。前記のとおり、これから第3号被保険者が廃止になる可能性もあります。その際には、それまでにはなかった負担が生じるかもしれません。
第3号被保険者制度の廃止に備えてパートの時間を見直したり、出費に備えて少しずつ貯蓄したりといった対策を考えるのも、1つの方法なのではないでしょうか。将来の制度変更に向けて備えておいたり、制度に関する最新情報をチェックしたりするのも良いでしょう。
出典
厚生労働省 第24回社会保障審議会年金部会 年金制度改正の検討事項
日本維新の会 党首会談を受けた政策協議メモ
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
