夫の死後「月13万円」の“遺族年金”を受け取る友人。私は「支給なし」だったのにナゼ? 夫の保険料は“払い損”だったのでしょうか? 遺族年金を「受け取れない」ケースとは
本記事では遺族年金の種類とその性質、子どもの有無で年金の受給がどのように変わってくるのかについて解説していきます。
ファイナンシャルプランナー2級
「子あり」なら受給できる制度、遺族基礎年金
遺族年金のうち遺族基礎年金は、基本的に20歳から60歳未満までの全国民が加入している国民年金の制度です。遺族基礎年金の支給対象は、死亡した人に生計維持関係のあった「子のいる配偶者」とその「子」で、受給資格を持つ子が18歳の年度末になるまで、または障害等級1・2級の子が20歳になるまで受給することができます。
つまり、仮に夫が亡くなったときに、要件を満たす子が家庭にいれば、妻あるいは子どもが遺族基礎年金を受け取ることができるのです。そのため、遺族基礎年金は「子育て世帯への生活保障」ともいえるでしょう。
「子なし」でも受けられる場合あり、遺族厚生年金
会社員や公務員は、遺族基礎年金のほかに、遺族厚生年金を受け取れることがほとんどです。遺族厚生年金は、加入者に未成年の子どもがいなくても、生前に生計を同一にしていれば配偶者、父母、孫、祖父母でも受け取ることができます。
このように遺族厚生年金の場合は、亡くなった人が厚生年金保険の被保険者であれば、子どもの有無にかかわらず受給の対象となることがあります。
ただし、受給には、家族の年間収入など一定の制限を満たしていることが必要で、一律で受給できるわけではないので注意が必要です。
遺族年金っていくらもらえるの?
いざという時、遺族年金はいくらもらえるのでしょうか。「月収40万円」「厚生年金加入期間40年(480月)」で、妻と未成年の子ども1人がいる会社員の場合で概算してみます。
老齢厚生年金(報酬比例部分)をもとにすると、平成15年4月以降の加入期間に対して「平均標準報酬額×5.481÷1000×加入期間」という計算式になります。
今回は「月収40万円」を平均標準報酬月額とし、加入期間480月なので、
40万円×5.481÷1000×480月=約105万2000円(年額)
さらに、加入者の老齢厚生年金を基準に、遺族厚生年金は「その4分の3」が支給の目安となるため、
約105万円の報酬比例部分×3/4=約79万円(年額)
また、遺族基礎年金では、2025年度は年額約83万1700円に子ども1人分の加算額の23万9300円など加わるため、年間では約107万円の支給となります。
つまり、今回のケースであれば、子が成人するまで親子で年間約186万円の遺族年金を受け取ることができるということになります。
子どものありなしでこんなに違う遺族年金
遺族年金は、同じように保険料を納めていても、「要件を満たす子どもがいるかどうか」で受け取れる年金額が大きく異なります。遺族基礎年金は、子どもがいる配偶者または子のみが対象で、子どものいない配偶者には原則として支給されません。
一方、遺族厚生年金は、子どもの有無にかかわらず、厚生年金に加入していれば、一定の要件を満たした配偶者が受給できる場合があります。まずは、配偶者が遺族厚生年金の要件を満たしているかを確認しましょう。困ったときは近くの年金事務所に相談に行くこともおすすめです。
出典
日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
