無期限で受け取れていた遺族年金が5年で打ち切られるのは本当ですか? 夫が亡くなって、遺族年金を受け取っていますが、この先受給できなくなるのでしょうか。

配信日: 2025.11.30
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無期限で受け取れていた遺族年金が5年で打ち切られるのは本当ですか? 夫が亡くなって、遺族年金を受け取っていますが、この先受給できなくなるのでしょうか。
夫を亡くして「遺族年金」を受け取っている方にとって、制度改正により「5年で打ち切られる」という話題は非常に気になるものです。ただし、これまで生涯支給とされてきたすべての人が対象となるわけではありませんが、一部で有期化(5年支給)が検討されています。
 
そこで、本記事では制度の仕組みと変更内容、そして家計への影響を生活者の視点から整理します。
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遺族厚生年金の仕組みをおさらい

遺族年金は、被保険者が亡くなった際に、残された家族の生活を支えるために支給される制度です。厚生年金に加入していた人が亡くなった場合、その配偶者や子どもなどが「遺族厚生年金」を受け取れます。
 
夫が亡くなった時点で18歳到達年度末までの子ども(障害年金の障害等級1~2級の場合は20歳未満)がいる妻には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の両方が支給されます。ただし、遺族基礎年金を受け取れるのは、子どもが年齢要件を満たしている間だけです。
 
夫の死亡時に妻が30歳以上の場合、遺族厚生年金を生涯にわたって受け取ることができます。 一方で、30歳未満の妻は、5年間の有期支給となり、その後は終了します。
 
このように、妻の年齢と年齢要件を満たす子どもの有無によって支給期間が異なります。遺族年金は多くの家庭にとって生活の基盤となる制度であり、支給条件の違いを正確に理解しておくことが重要です。
 

なぜ5年で打ち切りという話が出ているのか

「遺族年金が5年で打ち切られる」という話題の背景には、制度全体の見直しがあります。これは、少子高齢化が進むなかで年金制度を持続可能にするために検討されており、現役世代の減少によって年金財政が厳しくなるなか、配偶者の年齢や子どもの有無によって支給内容に差がある現行制度の公平性を見直す狙いがあります。
 
この見直しは、2028年度から段階的に実施される予定です。一部の報道では5年で終了と表現されることもありますが、すべての受給者が対象になるわけではなく、一定の条件を満たす場合のみ5年間の有期給付が適用される見通しです。
 

どのような人が5年有期の対象になるのか

今回の見直しでは、この「5年有期支給」の対象が拡大される方向で検討されています。新たに、夫の死亡時に子どもがいない40歳未満の配偶者なども有期支給の対象とされる見通しです。つまり、これまで終身支給だった層の一部が、改正後は5年間に限定される可能性があります。
 
一方で、次のような人は見直しの影響を受けず、従来どおり終身で受け取る見通しです。


・すでに遺族厚生年金の受給を開始している人
・夫の死亡時に18歳未満または障害のある子ども(障害年金受給権者)がいた人
・夫の死亡時に60歳以上の配偶者
・2028年度時点で40歳以上となる女性

このように、現行制度での「30歳未満・子どもなし」の有期支給という枠組みを基礎に、改正後はより広い年齢層に有期化が及ぶ可能性があります。若年世代ほど影響を受けることになるため、今後の制度改正の動向には注意が必要です。
 

あなたの生活にどんな影響があるか

もし制度改正の対象となる場合、遺族年金に頼った生活設計を続けることは難しくなります。老後資金や生活費を補うためには、貯蓄の取り崩しや就労の継続、民間保険による保障などの対策が求められます。
 
また、将来的に制度が変更されたとしても、現行の受給者は原則として影響を受けない見通しです。ただし、今後配偶者を亡くす可能性がある世代は、制度が施行される時期や対象条件を早めに確認し、遺族年金を受け取れない場合に備えておくことが大切です。
 
年金制度は、社会情勢や財政状況によって見直しが繰り返されています。遺族年金が「どのくらい受け取れるのか」「いつまで続くのか」を正しく理解し、自分自身の生活設計の問題として冷静に見つめ直す姿勢が大切です。
 

制度改正を見据え、将来の家計を見直そう

遺族年金の有期化は、すべての人に影響するわけではありませんが、年金制度全体が変化の時期にあることは確かです。もし対象となる可能性がある場合は、遺族年金だけに依存せず、働き方や貯蓄、保険などを組み合わせて長期的に生活を支える仕組みを整えておくことが大切です。
 
将来の安心は、制度を正しく理解し、自ら備えることでしか得られません。遺族年金の仕組みや改正の内容を今のうちに把握し、必要なら専門家に相談しながら家計を見直すことが、確実な一歩となるでしょう。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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