25歳派遣社員・手取り月額18万円、年金保険料の支払いが厳しいです。「免除」にすることはできますか? 条件は厳しいですか?

配信日: 2025.11.29
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25歳派遣社員・手取り月額18万円、年金保険料の支払いが厳しいです。「免除」にすることはできますか? 条件は厳しいですか?
年金保険料の支払いが厳しいとき、どのようにしたらいいのでしょうか? 滞納をする前に検討すべき方法について、FPである筆者が紹介します。
神津喜代子

資産運用の相談業務

資産運用の相談業務のなかで、貯金・生命保険・投資信託・変額年金保険・投資信託・NISAを取り扱い、職員指導も行なった実績を活かし、お客さまから金融商品に限らず、相続などさまざまな相談を受ける。
 
現在も日本FP協会のSGに参加し、研修を継続中。わかりやすく正確な最新情報の提供に努めている。

国民年金には免除制度がある

国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する制度です。しかし、経済的な理由などで保険料を納めることが難しいこともあるでしょう。そのような場合に、保険料の全部または一部を免除できる制度が保険料免除制度です。
 
保険料の免除制度は4種類あり、下記のような場合に対象になります。
 
1. 法定免除
障害年金を受けている、生活保護法による生活扶助を受けているなどの場合
 
2. 申請免除
所得が一定以下である、災害により損害を受けた、失業している、地方税法による障がい者、寡婦またはひとり親などの場合
 
3. 特例免除
災害、失業、配偶者からの暴力などで所定の要件を満たした場合
 
4, 学生納付特例制度 
20歳以上の学生で条件に該当した場合
 
このような事情で所得が少なく、保険料の納付が困難な場合は、免除に該当する場合があります。保険料の免除を申請し、承認されれば、保険料の納付を免除されます。
 

国民年金申請免除制度とは

申請免除は、前年の所得により免除の可否が判断されます。
 
免除には全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除があり、免除となる所得の基準については扶養親族がいない場合、以下のようになります(扶養親族がいる場合は異なります)。
  

・全額免除:前年の所得が「67万円」以下
・4分の3免除:前年の所得が「88万円+社会保険料控除等」以下
・半額免除:前年の所得が「128万円+社会保険料控除等」以下
・4分の1免除:前年の所得が「168万円+社会保険料控除等」以下

 
全額免除の場合で計算すると、手取り月収約10万円となります。
 
・前年の所得67万円+給与所得控除55万円(平成6年度)=122万円÷12ヶ月
 
月の手取り収入が18万円の場合、社会保険料控除の額によりますが、4分の1免除に該当すると考えられます。
 
18万円×12ヶ月=216万円(手取り年収)
216万円-55万円(給与所得控除)=161万円
前年の所得が168万円+社会保険料控除額 > 161万円
となり、4分の1免除の金額より低い金額です。
 
免除の承認は、日本年金機構が行います。申請先であるお住まいの区・市町村役所、国民年金担当窓口または年金事務所で相談できます。保険料免除の対象にならない場合は保険料納付猶予制度もありますので、免除に該当しない場合は相談してみましょう。
 

免除の申請方法を確認

免除の申請は、電子申請または郵送で行えます。
 
電子申請をする場合は、マイナポータルから行います。申請を郵送で行う場合は、日本年金機構ホームページから申請書をダウンロードします。
 
申請先は、お住まいの区・市町村役所、国民年金担当窓口または年金事務所で問い合わせ先も同様です。不明な点がある場合は、相談してから申請しましょう。
 
申請は、毎年行う必要があります。また、2年1ヶ月までさかのぼって申請できます。
 

免除申請を行った場合のメリット・デメリット

免除申請を行うことのメリットとしては、国民年金保険料を払う必要がなくなる、または減額されますので、家計の負担が少なくなります。
 
一方、デメリットは将来の受け取る年金額が減額されます。減額となる期間の計算は、免除を行った月数です。減額された場合の年金額は、以下のとおりです。
 

全額免除:全額納付した場合の2分の1
4分の3免除・全額納付した場合の8分の5
半額免除:全額納付した場合の8分の6
4分の1免除:全額納付した場合の8分の7

 
減額される年金を満額にして受け取りたい場合は、追納することもできますので、余裕ができたら検討しましょう。追納できる期間は、免除月から10年以内です。
 

免除の申請を行わずに支払わない場合のデメリット

免除の申請をせずに年金保険料の支払いをしない場合は、年金額に反映されません。その期間については保険料の計算に含まれませんので、2分の1、8分の7などの年金を受け取ることもできません。
 
また、老齢基礎年金を受け取るためには、10年(120月)の「保険料納付期間+保険料免除期間+カラ期間」が必要ですが、未納の場合は免除期間にも含まれませんので、将来、老齢基礎年金を受け取れない可能性があります。保険料を支払えない場合は、必ず免除の申請を行いましょう。
 
人生100年時代の長い老後を支える大切な年金です。保険料の支払いが困難な期間についても、放置することなく、年金相談窓口などに相談し、免除の申請を行うなど、将来年金が受け取れるように手続きしましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
厚生労働省 日本年金機構 国民年金「免除・猶予制度」2025年版
 
執筆者 : 神津喜代子
資産運用の相談業務

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