3年以内に「iDeCo」の“拠出限度額”が引き上げられる⁉ 例えば掛金を“2万3000円”から“6万2000円”に増額した場合、10年で“200万円以上”の「節税効果」が見込めるって本当?
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住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
目次
3年以内に「iDeCo」の“拠出限度額”が引き上げに
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は65歳になるまで拠出でき、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。掛金の所得控除や運用益の非課税など、税制上の優遇があるiDeCoは、節税と老後資金づくりの両面で注目されています。
令和7年6月13日に私的年金の見直しが盛り込まれた「年金制度改正法」が成立しました。この法律によって、高齢期における生活の安定を図るために、ライフスタイルや家族構成の多様化を踏まえた年金制度の構築や所得再配分の強化、私的年金制度の拡充などが実施されます。
この年金制度改正により、iDeCoも以下のような見直しが3年以内に実施される予定です。
表1
| 現行 | 見直し予定 | |
|---|---|---|
| 加入できる年齢の上限 | 65歳まで | 70歳まで |
| 拠出限度額の上限 (会社員や公務員等の第2号加入者) |
2万3000円 | 6万2000円 |
出典:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」を基に筆者作成
掛金を“6万2000円”に増額した場合の「節税効果」は10年間で“約150万円”!?
iDeCoの税制優遇効果は、「税制優遇=掛金×税率」で計算できます。
ここでは、年収500万円の方が10年間拠出限度額まで掛金を増やした場合を例に、節税効果を確認していきましょう。また、毎月の拠出限度額が2万3000円と6万2000円でいくらくらい変わるのかを比較します。
年収500万円(課税所得は約232万円)の所得税率は10%、住民税所得割の税率は10%です。
毎月2万3000円拠出した場合
1年:2万3000円×12ヶ月×20%=5万5200円
10年:5万5200円×10年=55万2000円
毎月6万2000円拠出した場合
1年:6万2000円×12ヶ月×20%=14万8800円
10年:14万8800円×10年=148万8000円
以上から、掛金が6万2000円に増額すると、年間14万8800円、10年間で148万8000円程度の節税効果が見込めると考えられます。
同時に「企業型DC」の“マッチング拠出”の制限も撤廃に
前述した年金制度改正法の「私的年金の見直し」に伴い、企業型確定拠出年金(企業型DC)についても見直しになりました。
具体的には、拠出限度額の拡充(現行の月5万5000円から月6万2000円へ)や加入者掛金(マッチング拠出)の制限を撤廃するなどの見直しが3年以内に実施される予定です。
従来は「加入者掛金は事業主掛金の額を超えられない」という制限がありました。これらの見直しによって、拠出限度額の枠を十分に活用できるようになる可能性があります。
まとめ
年金制度改正法によって第2号被保険者の拠出限度額が6万2000円に引き上げられた際、限度額まで10年間拠出すると10年間で約150万円の節税効果が見込めるかもしれません。加入できる年齢の引き上げや企業型DCのマッチング拠出制限撤廃などにより、今後iDeCoや企業型DCを活用しやすくなるでしょう。
出典
厚生労働省 年金制度改正法が成立しました
厚生労働省 iDeCoの概要
国税庁 所得税の税率
総務省 個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
