「ねんきん定期便」で将来の年金額が「月10万円」程度と知ってびっくり! 学生のときに免除してもらったことが原因のようですが、40歳の今からでも追納した方がいいでしょうか?
特に学生時代に「学生納付特例制度」を利用していた場合、その期間が老齢基礎年金額に影響します。では、現在40歳であっても、学生時代の猶予分を追納すれば年金額を増やせるのでしょうか。
本記事では学生納付特例制度と追納制度の仕組みを整理したうえで、追納ができない場合の代替策についても解説します。
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学生納付特例制度とは?
学生納付特例制度は、収入が一定以下の学生を対象に、国民年金保険料の納付を猶予する制度です。家計への負担が軽くなる一方で、その期間の保険料は「未納」ではなく「猶予扱い」となり、老齢基礎年金の受給資格期間には含まれますが、金額の計算には反映されません。
つまり、猶予期間中の保険料は支払ったものとして扱われないため、将来の年金額はその分だけ低額になります。
ただし、この制度には後から保険料を支払える「追納制度」があり、追納すれば猶予期間を納付済期間として扱うことができます。学生時代の特例利用を取り戻すための重要な仕組みといえます。
追納制度とは:追納できるのは「承認された月の前10年以内」まで
国民年金保険料の追納制度は、過去に免除・猶予を受けた期間について、後から保険料を支払える仕組みです。ただし日本年金機構によれば、追納の対象となるのは、「追納が承認された月の前10年以内の期間」に限られています。
そのため、現在40歳であれば、学生時代の猶予期間が10年以内に収まっているケースは少ないと考えられ、多くの場合は追納期限を過ぎている可能性が高くなります。学生納付特例制度はおおむね20歳前後の期間に利用されるため、40歳時点ではすでに20年近く経過しており、追納制度の対象期間から外れていることが一般的でしょう。
また、追納可能期間に該当していたとしても、猶予の承認を受けた期間から時間が経つほど、経過期間に応じた加算額が加えられるため、当時の保険料より高い金額を負担する必要があります。
追納には、納めた保険料が社会保険料控除の対象となるメリットがありますが、期限を過ぎてしまえば追納そのものが利用できないため、学生時代の猶予分を補うことはできなくなります。
年金額を増やすための別の方法もある
追納ができない、あるいは追納しても十分な増額が見込めない場合でも、老後の年金額を増やす方法はいくつかあります。
まず、「繰下げ受給」を利用する方法です。老齢基礎年金・老齢厚生年金は原則65歳から受給できますが、それ以降に受給開始を遅らせると、1ヶ月単位で年金額が増える仕組みになっています。最大75歳まで繰り下げることが可能で、増額率は最大84%に達します。
また、60歳以降も働いて厚生年金保険に加入すれば、その期間の保険料納付に応じて老齢厚生年金の額が増えます。特に近年は定年延長や再雇用制度が広がっており、長く働くことが年金額の底上げに直結しやすい環境になっています。
さらに、公的年金だけに頼らず、iDeCoやNISAなどの自助努力を組み合わせることで、将来の収入源を複線化し、老後の家計に余裕を持たせることも可能です。
まとめ
学生納付特例制度を利用していた期間については、原則として「追納が承認された月の前10年以内」であれば保険料を後から支払うことで将来の年金額を増やすことができます。しかし、現在40歳の場合、学生時代からすでに相当の時間が経っており、追納期限を過ぎているケースが多いのが現実でしょう。
とはいえ、追納ができなくても、繰下げ受給や60歳以降の厚生年金加入、iDeCo・NISAなどの活用によって、老後の収入を補う手段はいくつかあります。ねんきん定期便で将来の年金額に不安を感じた場合は、制度を正しく理解したうえで、自分に合った増額方法や働き方を検討することが重要です。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
