【注意】転職後「確定拠出年金・200万円」を放置…引っ越しの“手続き忘れ”で「70万円」損する場合も!? 年3%運用の場合で“資産額”をシミュレーション

配信日: 2025.12.11
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【注意】転職後「確定拠出年金・200万円」を放置…引っ越しの“手続き忘れ”で「70万円」損する場合も!? 年3%運用の場合で“資産額”をシミュレーション
転職経験がある人の中には、前職で確定拠出年金(以下、企業型DC)に加入していた人もいるかもしれません。企業型DCは転職すると加入資格を失うため、積み立てた資産をそのまま放置すると国民年金基金連合会へ自動的に移されます。
 
そうなると、管理手数料が差し引かれるだけでなく、運用もストップしてしまいます。運用しない期間が長くなるほど、将来受け取れる金額に差が生じるため、老後資産が計画より少なくなる可能性があることに注意が必要です。
 
本記事では、企業型DCの資産が国民年金基金連合会に移換された場合の影響や、運用を再開するための対応策を解説します。
東雲悠太

FP2級、日商簿記3級、管理栄養士

企業型DCは転職のたびに手続きが必要

企業型DCは、会社が掛け金を拠出し、自分で商品を選んで資産運用する私的年金制度です。退職すると企業型DCの加入資格を失うため、手続きをしなければ運用を続けられません。
 
また、企業型DCは原則60歳までは現金として受け取れず、途中解約も原則できないため、転職のたびに資産を移す「年金の引っ越し」が必要になります。移換の方法は次の2通りです。


・転職先に企業型DCがある:資産を転職先の企業型DCへ移換して運用を継続する。
・転職先に企業型DCがない:個人型DC(iDeCo)へ移換して運用を継続する。

 

手続きを忘れると資産が目減りしてしまう

退職後6ヶ月以内に移換手続きを行わないと、資産は国民年金基金連合会へ自動移換されます。自動移換されると、資産は運用されないまま保管される状態となり、資産が増える機会を逃してしまいます。
 
さらに、資産を保管しておくだけでもかかるのが管理手数料です。現在の管理手数料は月52円ですが、2026年4月からは月98円へ引き上げられる予定です。
 
国民年金基金連合会に放置したままだと、増えないだけでなく管理手数料の分だけ目減りする状態となり、老後資金に影響が出る可能性があります。
 
自動移換されてしまった資産を再度移換して運用を再開したい場合は、国民年金基金連合会から運営管理業務を委託されている特定運営管理機関「JIS&T(ジス・アンド・ティー)」のサイトで手続きの流れが確認できます。
 

資産運用が停止するとどれくらい影響が出る?

退職時に企業型DCに200万円の資産があったケースを例に試算してみましょう。確定拠出年金は、資産運用で増えた資産も再び運用に回るため、運用期間が長いほど増え方が大きくなる特徴があります。例えば、年3%で運用を継続できていた場合、5年後、10年後の資産額は次の通りです。


・5年後:約232万円
・10年後:約270万円

自動移換されて運用が止まると、この増加分を得ることはできません。もちろん、運用の成果は選択する商品や市場環境によって変動するため、必ず増加するものではありませんが、運用を止めてしまうことで差が生じる可能性があることは理解しておきましょう。
 

年金の引っ越しを行って老後資金の計画を立てよう

企業型DCは、転職時に何も手続きせずに放置すると国民年金基金連合会に資産が自動移換され、運用がストップします。これにより、資産が増える機会を逃し、手数料によって少しずつ目減りする可能性があります。
 
転職経験がある人は、前職の企業型DCがどうなっているかを一度確認して、必要に応じて移換手続きを行って老後資産を計画的に形成しましょう。
 
執筆者 : 東雲悠太
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士

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