大学生だったときの2年間、国民年金を未納だった夫…… 将来もらえる年金はどれくらい減るの?

配信日: 2025.12.11
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大学生だったときの2年間、国民年金を未納だった夫…… 将来もらえる年金はどれくらい減るの?
大学生のころ、国民年金を支払っていなかったという事実に気付き、「将来の年金はどれくらい減るのだろう」と不安を抱く人もいるでしょう。公的年金は老後の家計の基盤となるため、未納期間があることでどれほど影響を受けるのかを理解することは非常に重要です。
 
本記事では未納期間2年を例に、将来の受給額に与える影響を数値で示しつつ、取り得る選択肢や家計への考え方を解説します。
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国民年金を未納にするとどのような不利益があるのか

国民年金は、20~60歳までの40年間(480ヶ月)保険料を納めることで満額の老齢基礎年金を受け取れる仕組みです。未納期間はこの納付月数に含まれず、年金額の計算から完全に除外されます。
 
そのため、未納が生じると将来の受給額が確実に減ってしまうことになります。また、未納のままでは障害年金や遺族年金など、万が一のための保障から外れる可能性もあるため、金銭面だけでなく生活上のリスクも発生します。
 

2年間の未納で年金受給額はいくら減る?

令和7年度の老齢基礎年金の満額は、年83万1700円です。老齢基礎年金は、満額(480ヶ月)を基準に月数で案分されます。このため、満額を480ヶ月で割ると、1ヶ月納付することで将来の年金に反映される額、つまり 未納1ヶ月あたりの減額額は約1732円となります。
 
この基準を用いると、2年間(24ヶ月)未納により将来受け取れなくなる年金額は「1732円×24ヶ月=約4万1568円」で、満額に対して約5%の減少となり、受給額は年約79万円台にとどまります。
 
一見すると4万円強の差は小さく感じられますが、年金は20〜30年にわたり受給するため、この差は総額で80~120万円以上に広がる可能性があります。老後は生活費や医療費・住居費など一定の固定支出が続くため、年金の減少は家計に直接響く重要な影響といえます。
 

未納分を取り戻せる可能性は?

国民年金保険料は納付期限から2年以内であれば、納付書を使って後から支払うことができますが、この2年を過ぎると時効が成立し、未納分を支払うことはできなくなります。したがって、単純な未納期間については将来の年金額に反映させる方法はなく、その分は受給額が減ってしまいます。
 
そこで、所得が少ない場合などの理由があれば、「免除」や「猶予」の申請をすることで、保険料を納めなくてもよい期間として認められる制度があります。 これらの期間については、未納とは扱いが異なり、10年以内であれば「追納」として後から保険料を納めることができます。
 
追納すれば将来の年金額を増やせるため、過去に免除・猶予を利用した期間がある場合は確認する価値があります。
 
このように、未納期間は2年間しか後から納付できないのに対して、免除・猶予期間は10年間追納できるなど、制度によって対応が大きく異なります。まずは、自身の年金記録を確認し、未納・免除・猶予のどの扱いだったのかを正しく把握することが重要です。
 

老後の家計を守るために今からできること

過去の未納分がすでに2年を過ぎて払えない状態でも、老後資金を補う手段はいくつもあります。
 
例えば、60歳以降に任意加入制度を活用して納付月数を増やす方法や、自助努力として積立投資や貯蓄などを併用する方法があります。老後の収入源を公的年金だけに頼らず、複数の柱を持つことで家計の安定性は大きく向上します。
 
また、未納をきっかけに現役世代の家計管理を見直すことも有効です。年金は長期の仕組みであり、一度の未納が生涯に与える影響は小さくありません。早いうちに情報を整理しておくことで、今後の人生設計にとって大きな安心につながります。
 

年金の未納は放置せず、今できる対策から始めよう

学生時代の2年間の未納は、将来の年金額を確実に減少させます。しかし、その事実を正しく理解し、今できる対処を行えば、老後の不安を大きく軽減できます。
 
まずは年金記録を確認し、未納・免除・猶予の状況を把握することが第一歩です。そして、老後資金をどのように形成していくかを早い段階で考え、複数の収入源を確保することで、長い人生を安定して過ごす基盤が整っていきます。
 
どのような状況でも、今からできることは必ずあります。未来の安心のために、今日から一歩踏み出してみましょう。
 

出典

日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 任意加入制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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