年金月12万円の母が「週3で働きたい」と言うけれど…年金が「減額」されるんじゃないの?“在職老齢年金”で損をしない働き方は?

配信日: 2025.12.11
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年金月12万円の母が「週3で働きたい」と言うけれど…年金が「減額」されるんじゃないの?“在職老齢年金”で損をしない働き方は?
「働いた分だけ生活が楽になる」そのはずなのに、「在職老齢年金制度」の仕組みを知らないと、意図せず損をしてしまうかもしれません。一見複雑に見えても、制度の仕組みさえ理解できれば損をしない働き方を選択できるでしょう。
 
この記事では、在職老齢年金制度の概要と、“損をしない”働き方について分かりやすく解説します。
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「在職老齢年金制度」とは? 2025年度の変更点と支給停止ライン51万円の意味

在職老齢年金制度は、年金を受け取りながら働く高齢者の報酬が一定額を超える場合、その超過分に応じて年金額を減らす仕組みです。これは年金制度の持続可能性を守り、報酬が多い場合は年金の給付を調整するための制度です。
 
2025年度には、この支給停止の基準額(調整額)が月50万円から51万円に引き上げられました。
 
具体的には、厚生年金保険に加入しながら働く場合などで、給与と老齢厚生年金の合計が1ヶ月あたり51万円を超えると、超過分の半額が老齢厚生年金から減額されます。
 
ここでいう「給与」とは、賞与を含む年収の月額相当額を指します。この引き上げは、高齢者の労働機会拡大を後押しする狙いがあり、より多くの収入を得ながら働ける環境を目指しています。
 
厚生労働省によれば、今後、この支給停止基準額が62万円に引き上げられる予定であり、高齢者の就労を支える制度改正が進む見通しです。
 

年金月12万円の母親が週3日働くとどうなる? 具体的な収入と年金減額のシミュレーション

例えば、月12万円の年金を受給する母親が週3日働くとします。ここでのポイントは、月12万円の年金額のうち老齢厚生年金にあたる部分はいくらかということと、週3日働いて得る報酬の額がどの程度かということです。
 
仮に、月12万円の年金額のうち老齢厚生年金が6万円、週3日パートで月10万円の収入がある場合、給与と老齢厚生年金の合計は16万円となり、51万円の基準額には達しません。そのため、この場合は年金が減額されることなくフルで支給されます。
 
一方、もし週3日でも時給や勤務時間が多く、賞与も支給されるなどで、月給が45万円を超えてくると、老齢厚生年金(6万円)との合計は51万円を超え、超過分の半額が年金から減額されることになります。
 
このように、働く時間や給与を調整することで、年金を減らさずに働ける「損をしない働き方」が可能でしょう。この具体的な数字の把握が重要です。
 

損をしない働き方は? 収入調整と社会保険の加入基準を理解する

働きながら年金を減額されたくない場合、まず給与と老齢厚生年金の合計が支給停止基準額(2025年度は51万円、将来的に62万円)を超えないように収入をコントロールすることが必要です。
 
さらに、社会保険の加入対象となるかどうかも重要です。週3日勤務であっても、企業規模や1週間の所定労働時間、所定内賃金などの条件によっては社会保険の加入義務が生じるため、働き方を工夫して非加入のラインに抑える方法もあります。
 
ただし、厚生年金保険に加入することで将来受け取る年金額が増えたり、医療保険が充実したりするメリットもあります。
 
これらを踏まえ、小まめに収入を計算し、年金・社会保険に影響しない範囲で働くことが、損をしない賢い方法といえるでしょう。
 

まとめ

高齢者が健康で意欲的に働き続けられる社会を目指し、在職老齢年金制度は徐々に緩和されています。将来も支給停止基準額が引き上げられる予定で、働き損をしにくい環境整備が進む見込みです。
 
とはいえ、毎月の収入状況を自分で把握し、年金受給額とのバランスを考えることは欠かせません。社会保険の加入の有無なども含めて適切にコントロールすれば、年金も最大限受け取ることが可能と考えられます。
 
最新の制度情報を確認し、自分のライフスタイルや健康状態にあった働き方を選べば、長く安心して働き続けられるでしょう。
 

出典

厚生労働省 在職老齢年金制度の見直しについて
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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