正社員とパート勤務では、老後の年金額に差はどれくらい出ますか?子育て中で、正社員を続けるか退職してパートにするか迷っています。
子育てをしながら働き方を選ぶとき、多くの人が気になるのが「将来の年金額への影響」です。特に、正社員からパートへ切り替えようとしている人にとって、家計と老後資金のバランスは大切なテーマです。
本記事では、正社員とパート勤務で老後の年金額にどの程度差が出るのかを、仕組みと具体例を交えながら解説します。
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目次
年金制度の基本! 正社員とパートで何が違う?
日本の公的年金は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建て構造です。
・正社員→原則として厚生年金に加入
・パート→勤務先や労働時間によって国民年金のみ、または厚生年金にも加入
パートでも、週20時間以上や勤務期間などの条件を満たせば厚生年金に加入できます。ただし、加入できない場合は国民年金のみとなり、将来の年金額は大きく変わります。
年金額はどれくらい違うのか?
日本年金機構の「令和7年4月分からの年金額等について」をもとにすると、おおよそ次のような差があります。
1) 国民年金(基礎年金)だけに加入する場合
老齢基礎年金を満額受け取ると、2025年度は 1人あたり 年額約83万円(月額約6.9万円)です。
※実際の受給額は、加入期間や免除期間の有無などにより増減します。
2)正社員として厚生年金に長期間加入した場合
平均的な収入で厚生年金に加入し続けた人は、老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされ、単身者で 月額およそ14〜15万円前後(年額170〜180万円前後)となるケースが多いとされています。
※実際の金額は、生涯の平均給与やボーナス、加入年数、配偶者の有無などによって大きく変わります。
3) 両者の差の目安
基礎年金のみ(満額近辺)が月約6.9万円、基礎年金+厚生年金ありの人の平均が月約14〜15万円前後とすると、差は 月8〜9万円前後、年間でおよそ100万円前後になる場合もあります。
老後の生活費を考えると、この差は小さいとは言えず、現役時代の働き方や厚生年金への加入期間が老後の家計に大きく影響します。
パートでも厚生年金に入るかで差が縮まる
近年はパートの社会保険加入が広がっており、大企業ではほぼ加入が必須、 中小企業も順次対象が拡大しています。
もしパート勤務でも厚生年金に加入できるなら、年金額の差は大きく縮まります。
例えば、
・正社員(平均月収25万円)で20年間勤務
・パート(月収10万円)で同期間勤務
というケースでは、厚生年金部分は給与比例のため差は生じますが、国民年金よりは大幅に手厚くなり、最終的な差は 月3〜4万円程度 に抑えられる場合もあります。
子育て中に考えたいポイント
1. 今だけでなく、40年スパンで見る
数年間の収入よりも、老後までの年金総額は非常に大きい影響を持ちます。例えば年金が月8万円違うと、20年で 約1900万円 の差です。
2. 育児期間は「年金の特例」が使える
産休・育休中は、事業主負担分、被保険者負担分が免除される制度があります。そのため、正社員のまま育児期を乗り越えた方が年金面では有利でしょう。
3. パートでも社会保険加入なら悪くない選択
夫の扶養に入る働き方(年収130万円未満)を選ぶと年金は国民年金のみ。一方で、あえて年収を上げて社会保険に加入すると、将来の年金額がぐっと増えます。
年金の差は大きい。しかし選択肢は一つではない
働き方は家庭の状況・体力・キャリア観により正解が異なります。
ただし、年金だけで見ると 厚生年金に長く加入しておくほど将来は安定する というのが事実です。迷っている場合は「短時間正社員」や「社会保険加入できるパート」など、中間の選択肢も検討してみることをおすすめします。
出典
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
日本年金機構 育児休業中の厚生年金保険の保険料はどうなるのですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー