専業主婦の妻が50歳で亡くなった場合、夫は死亡一時金を受け取れる? 遺族厚生年金の支給対象になるかもあわせて解説

配信日: 2025.12.13
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専業主婦の妻が50歳で亡くなった場合、夫は死亡一時金を受け取れる? 遺族厚生年金の支給対象になるかもあわせて解説
専業主婦だった妻が50歳で亡くなった場合、夫は遺族としてどのようなお金を受け取れるのでしょうか。
 
公的年金には、亡くなった人の保険料納付状況に応じて支給される死亡一時金や、一定の条件を満たすと受給できる遺族年金があります。ただし、専業主婦である場合、年金加入歴や子どもの有無によって受給の可否が大きく変わります。
 
本記事では、制度の仕組みを整理し、夫が現実的に受け取れる可能性のある給付について解説します。
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死亡一時金の支給対象となるか

死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を36ヶ月以上納めていた人が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給する前に亡くなった場合、その遺族に支払われる一時金です。
 
専業主婦であっても、結婚前などに自営業やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者として保険料を納めていた場合には、その人が亡くなったときに遺族である夫が受給できる可能性があります。
 
金額は納付月数に応じておおむね12~32万円の範囲で決まり、一度きりの給付であるため、生活費を長期的に補う性質のものではありません。また、請求は死亡日の翌日から2年以内に行う必要があり、この期間を過ぎると死亡一時金を受け取る権利は時効により消滅します。
 

遺族基礎年金・遺族厚生年金は受け取れる?

遺族年金は、亡くなった人の年金加入状況と遺族の条件によって支給される継続的な給付です。専業主婦が50歳で亡くなったケースでは、まず遺族基礎年金と遺族厚生年金のそれぞれの要件を確認する必要があります。
 

●遺族基礎年金

遺族基礎年金は、「子どものいる配偶者または子ども」に支給されます。専業主婦の場合でも国民年金に加入していれば、保険料納付要件などを満たす限り制度の対象になりますが、夫だけでは受給できません。
 
夫婦に18歳到達年度末までの子ども(または20歳未満で障害等級1級・2級の障害のある子)がいる場合に限り、夫は「子のある配偶者」として遺族基礎年金を受給できます。
 
したがって、子どもがいない家庭では専業主婦の妻が亡くなっても、遺族基礎年金は支給されません。
 

●遺族厚生年金

遺族厚生年金は、亡くなった人が厚生年金に加入していた場合に支払われる制度です。専業主婦の場合、結婚前に会社勤めをしていたかどうかがポイントになります。
 
妻に厚生年金の加入期間があれば、その死亡により夫が遺族厚生年金の受給対象となり得ますが、子どもがいない場合に夫が受給権を持つのは、妻の死亡時に夫が55歳以上であるときに限られ、夫が実際に受け取れるのは60歳以降です。
 
このため、子どもがなく、専業主婦の妻が50歳で亡くなったケースでは、夫に遺族厚生年金の受給権は原則として生じないと考えられます。
 

死亡一時金と遺族年金の併給はできる?

死亡一時金は、遺族年金の受給要件を満たさない場合に、その遺族を支援するための補完的な給付であり、原則として遺族基礎年金を受給できる場合には支給されません。
 
一方で、遺族厚生年金のみ受給でき、遺族基礎年金は受け取れる遺族がいない場合では、死亡一時金との併給が認められるケースがあります。
 
どの給付を優先して活用するかは、家庭の資金状況と今後の生活設計によって判断が分かれます。死亡一時金は一度きりのまとまった資金を比較的早く受け取れる給付であるのに対し、遺族年金は要件を満たす期間にわたり継続的に支給されるため、長期的な生活費の支えになります。
 
こうした制度の性質や併給・選択のルールを理解し、将来の収入の見込みや生活費の変動を踏まえて、どの給付を選択・活用するか検討することが重要です。
 

実際に給付が見込めるケース

50歳で専業主婦の妻が亡くなった場合、給付の可能性がある典型的なケースは以下が挙げられます。
 
妻に国民年金第1号としての保険料納付期間が36ヶ月以上あった場合は死亡一時金が該当します。また、18歳到達年度末までの子ども(または20歳未満で障害等級1級・2級の障害のある子)がいる家庭では遺族基礎年金が受給対象となり、妻に過去の厚生年金加入歴があれば遺族厚生年金の受給が見込めます。
 
ただし、専業主婦の死亡は家計収入が直接減るわけではないため、公的年金だけでは経済的な保障が比較的少ない点が特徴です。したがって、将来を見据えた追加の備えをどう確保するかが生活安定のポイントとなります。
 

遺族給付を正確に把握し、必要な備えを進めよう

家族が亡くなるという事態に直面したとき、公的年金制度からどのようなお金を受け取れるのかを正しく理解しておくことは、残された家計の安定に直結します。
 
まずは妻の年金加入歴や保険料納付状況を「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認し、どの制度が利用できるのかを整理することが大切です。そのうえで、遺族年金では補えない部分をどう備えるか、生命保険や貯蓄なども含めて検討することで、万が一のリスクに対する安心を高められるでしょう。
 

出典

日本年金機構 死亡一時金
日本年金機構 遺族年金ガイド 令和7年度版
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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