年金に追加で「年6万円の給付金」を受け取る友人。私も「年金受給者」なのに、なぜ支給がないのでしょうか?“支給額の目安・対象者”を確認
「年金生活者支援給付金」は、誰でも自動的にもらえるわけではないうえ、申請をしないともらえない制度です。対象条件もやや複雑なため、申請漏れによって年間で数万円を取りこぼしてしまっているケースもあるかもしれません。
本記事では、年金生活者支援給付金の仕組みや対象者、支給額の目安を紹介するとともに、あわせて検討したい「付加年金」や「繰下げ受給」といった年金を増やす方法についても解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
目次
年金生活者支援給付金とは?
年金生活者支援給付金は、所得が少ない年金受給者を支援するための制度です。この制度は通常の年金制度と同様に「老齢」「障害」「遺族」がありますが、今回は「老齢年金生活者支援給付金」について見ていきましょう。
対象になる人の条件・給付金の金額
老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、次の3つの条件を全て満たす必要があります。
1. 65歳以上で老齢基礎年金を受け取っている
2. 前年の年金収入金額とその他の所得の合計が80万9000円以下(1956年4月1日以前生まれの人は80万6700円以下)※2025年時点
3. 同一世帯全員が市町村民税非課税
このように、年金をもらっている人全員が対象ではない点は認識しておきましょう。
続いて金額ですが、2025年度の老齢年金生活者支援給付金の給付額は月額5450円(年額6万5400円)です。ただし、国民年金保険料の納付期間が少なければ、その分は減額されます。
要注意! 申請しないともらえない!
年金生活者支援給付金は、申請しなければ支給されません。対象となる可能性がある人には、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書」が送られます。
しかし、この請求書を提出しない限り、給付は始まりません。「届いたけどよく分からず放置していた」という人は、知らないうちに年間6万円以上を受け取り損なっているケースも考えられます。
申請は「年金生活者支援給付金請求書」の郵送でもできますが、電子申請も可能です。
「付加年金」で将来の年金額を増やす方法
年金生活者支援給付金とは別に、将来の年金額を増やす方法として「付加年金」という制度があります。
付加年金は、自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者を対象とする制度で、国民年金の保険料に毎月400円を上乗せして納めることで、将来の年金額が増える制度です。なお、増える金額は、納付月数×200円です。
例えば、20年間(240ヶ月)納めた場合、200円×240ヶ月=年間4万8000円の年金が上乗せされます。
「繰下げ受給」で年金を最大84%アップ
会社員などでも年金受給額をアップできる方法として、年金の繰下げ受給が挙げられます。繰下げ受給は、本来65歳から受け取り始める老齢年金を、66歳以降に受給開始時期を遅らせることで、年金額が増える制度です。
1ヶ月繰り下げるごとに0.7%ずつ増額され、最長75歳まで繰り下げが可能です。つまり、65歳から75歳まで10年間繰り下げると、年金額は最大84%増(1.84倍)になります。
例えば、65歳から年額78万円の老齢基礎年金を受け取れる場合、受け取り開始時期を75歳からにすると、受け取れる老齢基礎年金の年額は次の通りです。
78万円×1.84=約144万円
まとめ
年金生活者支援給付金は、所得が少ない年金受給者を支援するための制度です。ただし、申請しないと受け取れないうえ、所得条件や世帯状況によって対象外になる場合もあります。
さらに、これから年金を受け取り始める世代は、付加年金や繰下げ受給といった制度を活用することで、将来的な年金額を増やすことも可能です。
「友人はもらっているのに自分はもらえない」「将来の年金額を増やしたい」と感じたときこそ、年金事務所や年金機構の公式サイトで条件を確認してみましょう。
出典
日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書」の提出をお願いします!
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
