大卒で働いても「年金7万円」以下で、生活が苦しい…年金が少ないと「月4000円の給付金」がもらえると聞きましたが、自分も対象になりますか? 支給要件を確認

配信日: 2025.12.20
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大卒で働いても「年金7万円」以下で、生活が苦しい…年金が少ないと「月4000円の給付金」がもらえると聞きましたが、自分も対象になりますか? 支給要件を確認
「老齢年金生活者支援給付金」とは、公的年金やそのほかの所得が基準を満たしていない人を対象に、生活支援を目的として年金に上乗せされる給付金です。この「老齢年金生活者支援給付金」の平均給付額はいくらくらいなのでしょうか。
 
本記事では、平均給付額のほか、22歳から60歳まで自営業で働いた場合にいくらもらえるか、よくある疑問を含めて解説します。
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「老齢年金生活者支援給付金」の平均給付金額は“月額4014円”

「老齢年金生活者支援給付金」を受けるための支給要件は、「老齢基礎年金」を受給している65歳以上の人であること、世帯全員が市町村民税を課税されていないことです。
 
また、公的年金の前年の収入額とほかの所得の合計額が、「90万9000円以下(昭和31年4月2日以降に生まれた人)」、「90万6700円以下(昭和31年4月1日以前に生まれた人)」という条件も定められています。
 
そして、厚生労働省年金局の令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、「年金生活者支援給付金」の平均給付金額は、令和6年3月で「4014円」でした。
 
ちなみに同様の給付金には、前年の所得に応じて給付金額が増減する「補足的老齢年金生活者支援給付金」もあり、これは「老齢年金生活者支援給付金」による所得の逆転が発生しないようにするためのものです。
 
昭和31年4月2日以後生まれで、前年の年金収入額とその他の所得額の合計が80万9000円を超え90万9000円以下の人と、昭和31年4月1日以前生まれで合計が80万6700円を超え90万6700円以下である人を対象に支給されます。こちらの平均給付金額は、上記の資料によると令和6年3月で「2116円」でした。
 

大学卒業から60歳まで働いた場合、「年金生活者支援給付金」はいくらもらえる?

日本年金機構によると、令和7年度における老齢基礎年金は満額で月額6万9308円であり、年間でも上記の所得要件を超えません。
 
そのため、ここでは大学卒業後に22歳で自営業に就き、60歳で引退したと仮定します。国民年金の加入年齢である20歳~22歳未満の2年間、学生納付特例を受けていた場合を想定すると、給付金額は計算式(1)+(2)から以下のようになります。
 

(1)保険料納付済期間に基づく金額(月額)=5450円×保険料納付済期間÷480月

誕生月にもよりますが、仮に20歳からの2年間(24ヶ月)学生納付特例を受けていて大学卒業年度の4月から保険料の納付をスタートした場合、在職中の保険料納付済期間は38年間(480ヶ月-24ヶ月=456ヶ月)であることから、月額「約5178円」です。
 

(2)保険料免除期間に基づく金額(月額)=1万1551円×保険料免除期間÷480月

学生納付特例はあくまでも「猶予」であるため、ここでいう免除期間には該当しないと考えられます。つまり、(2)は月額「0円」となるため、給付金額は(1)+(2)で「約5178円」となります。
 
一方、国民年金の加入期間は20歳以上60歳未満と定められており、学生納付特例期間が全期間分で「追納」してあれば保険料納付済期間は480ヶ月となるため、(1)の満額である「5450円」がもらえる概算となります。
 
年収要件が「補足的年金生活者支援給付金」に該当する場合は、(2)の保険料免除期間に基づく額が加算されないほか、(1)にも所定の「調整支給率」から算出された減算がかかります。そのため、働きながら年金生活者支援給付金を受け取る場合、概算の金額を下回るケースもありえるでしょう。
 

1回しかもらえない? 申請が必要? よくある疑問を解説

厚生労働省の年金生活者支援給付制度「よくあるご質問(Q&A)」には、「年金生活者支援給付金」は支給要件を満たすかぎり、継続して受給できるとあります。また、受給する際は、日本年金機構へ「認定請求」の手続きを行う必要があります。
 
手続きに関しては、基礎年金の受給の有無により、方法が異なるため注意が必要です。
 

まとめ

「老齢年金生活者支援給付金」は、一部条件を満たしている人を対象に、年金に上乗せされる給付金のことです。平均給付金額は、令和6年3月で「4014円」となっていますが、実際の給付額は保険料納付済・免除期間によって変動します。
 
「年金生活者支援給付金」は、恒久的な制度です。要件を満たしていれば、その期間中は継続して受給できます。申請には日本年金機構への手続きが必要で、給付金額は審査結果の通知に記載されます。
 

出典

厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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