68歳で「月給30万円」の仕事に誘われています。収入が増えると年金が大幅に減るケースもあると聞き、迷っています…どこまで影響しますか?
本記事では、在職老齢年金の仕組みを整理したうえで、月給30万円の場合に年金へどの程度影響が及ぶのかを解説します。
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「在職老齢年金」の基本的な仕組み
在職老齢年金とは、老齢厚生年金を受給しながら、厚生年金保険に加入して働いている場合に、賞与を含む給与と老齢厚生年金の1ヶ月の合計額が支給停止調整額を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止される制度です。対象となるのは老齢厚生年金であり、老齢基礎年金は給与などにかかわらず全額受給できます。
68歳であっても、厚生年金保険に加入しながら働く場合には、給与収入によっては在職老齢年金の仕組みが適用されます。
支給停止の基準額はいくら?
在職老齢年金では、賞与を含む給与(月額)と老齢厚生年金(月額相当額)の合計が月51万円を超えるかどうかが、支給停止の判断基準とされています。この「月51万円」という金額は令和7年度の支給停止調整額であり、制度改正により見直されることがあります。
例えば今回のケースのように、月給が30万円の場合、これに老齢厚生年金の月額を加えた合計額が51万円を超えなければ、在職老齢年金による支給停止は生じません。仮に老齢厚生年金が月15万円であれば、合計は45万円となり、調整の対象外となります。
一方で、老齢厚生年金額が月22万円であれば、合計が52万円となり、一部支給停止が生じる可能性があります。
「収入が増えると年金が大幅に減る」は本当か
在職老齢年金による支給停止は、支給停止調整額を超えた部分に応じて段階的に行われる仕組みです。支給停止額は、「(給与+老齢厚生年金)-支給停止調整額×2分の1」で計算されます。そのため、一定額を超えたからといって、年金が突然全額停止されるわけではありません。
また、老齢基礎年金は調整の対象外であるため、支給停止が生じるのは老齢厚生年金部分に限られます。
さらに、在職老齢年金によって一時的に支給停止された年金は、将来にわたって失われるものではなく、退職や収入減少により条件を満たさなくなれば、再び支給されます。この点も、誤解されやすいポイントといえるでしょう。
働き方を判断する際の考え方
68歳で月給30万円の仕事に就く場合、年金がどの程度影響を受けるかは、現在受給している老齢厚生年金の額によって左右されます。給与と老齢厚生年金の合計が支給停止調整額を下回るのであれば、在職老齢年金の影響はありません。
そのため、判断に迷う場合には、自身の老齢厚生年金の月額を確認したうえで、給与との合計額を試算することが重要です。具体的な影響については、日本年金機構の相談窓口や年金事務所などで個別に確認もできるでしょう。
まとめ
厚生年金保険に加入しながら働く場合には、給与収入によっては在職老齢年金の仕組みが適用されます。ただし、月給30万円という水準であっても、老齢厚生年金との1ヶ月の合計額が支給停止調整額を超えない限り、年金が減額されることはありません。
「収入が増えると年金が大幅に減る」と一概に考えるのではなく、制度の仕組みを理解したうえで、収入と年金のバランスを確認することが、後悔のない働き方を選ぶためのポイントといえるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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