【補足的老齢年金生活者支援給付金】15日に通帳を確認したら「年金生活者支援給付金」が“5000円近く”も減っていた! 昨年パートで“10万円以上”稼いだのが原因でしょうか…?
実際、この給付金は前年の収入や、世帯の課税状況などをもとに支給額が見直されることがあり、必ずしも前年度と同じ金額が続くとは限らないようです。この記事では、補足的老齢年金生活者支援給付金の仕組みや計算方法について解説していきます。
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老齢年金の「年金生活者支援給付金」には収入要件により2種類が存在
老齢年金の「年金生活者支援給付金」には、通常の「老齢年金生活者支援給付金」と、前年収入によって変わる「補足的年金生活者支援給付金」との2種類があります。前年収入によっては「年金生活者支援給付金」の要件を外れ「補足的年金生活者支援給付金」の対象となり、実質的に給付額が減額になることがあるようです。
厚生労働省によると、年金生活者支援給付金を受給するためには、以下の支給要件をすべて満たしている必要があります。
1.65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること
2.同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
3.前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計が一定範囲内であること
収入と所得の合計金額については、昭和31年4月2日以後生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下が対象となります。
このうち、収入要件を超過しており、なおかつその額が10万円以内の場合には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。一方で、超過額が10万円を上回ると「不該当」とされ、支給されなくなるようです。
「補足的老齢年金生活者支援給付金」の計算方法は?
補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は、保険料納付済期間に応じた金額に、調整支給率を乗じた金額です。厚生労働省によると、計算式は「5450円(給付基準月額)×保険料納付済期間÷480月(被保険者月数)×調整支給率」で算出するようです。
調整支給率は、昭和31年4月2日以後生まれの方は(90万9000円-前年の年金収入金額とその他の所得の合計)÷10万円、昭和31年4月1日以前生まれの方は(90万6700円-前年の年金収入金額とその他の所得の合計)÷10万円で算出されます。
パートで「収入要件」を超えると「給付金」はいくら減る?
令和7年の老齢基礎年金の満額は月6万9308円、年間83万1696円です。しかし年金額は毎年変動するため、ここでは比較しやすいよう「年金収入80万円」を基準とした例を挙げます。以下は、昭和31年4月2日以後生まれの方の場合です。
1.年収が老齢年金のみ「80万円」の場合
保険料納付済期間が480月の場合には、「年金生活者支援給付金を満額」で受け取れる可能性があり、給付額は月5450円×12ヶ月=年間6万5400円となる試算です。
2.パートで「10万円」稼ぎ、年収が90万円となる場合
「補足的老齢年金生活者支援給付金」の対象となる可能性があり、昭和31年4月2日以後生まれの方で調整支給率は(90万9000円-90万円)÷10万円=0.09となります。つまり、給付額は5450円×0.09(調整支給率)=月約491円となり、年間では5892円となる試算です。
実際の給付判定は、加入月数や世帯の課税状況などにより変動する場合があります。しかしパート収入により年収が10万円増えても、実質的な年収差が「4万円程度」になる可能性もあると考えられます。
まとめ
「年金生活者支援給付金」は、前年の収入や世帯の課税状況によって金額が変わり、想定外に減ってしまうケースもあるようです。
パート収入が増えて年金生活者支援給付金から補足的年金生活者支援給付金に切り替わることがある一方、収入が一定額を超えてしまうと支給されなくなる場合もあり、年収の増加がそのまま手取りの増加につながらないかもしれません。
日本年金機構からの通知書などを確認しながら、必要に応じて年金事務所へ相談することで、現状に応じた支給状況を把握しやすくなるでしょう。
出典
厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
日本年金機構 「支給金額変更通知書」(または「不該当通知書」)が届きました。なぜですか。
日本年金機構 年金生活者支援給付金が不該当になった理由は何ですか。
日本年金機構 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要
日本年金機構 4月 令和7年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
