「糖尿病」の悪化に伴い20年勤めた会社を退職、“月収40万円”がゼロに…。主治医から「障害年金を受給できるかも」と言われたのですが、いくらくらいもらえそうですか?
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「障害年金」はどんなときにもらえるの?
障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、以下3つの要件を満たした際に支給されます。
1.障害の原因となった病気やケガの初診日が、次のいずれかの間にある場合
○障害基礎年金
・国民年金加入期間
・20歳前、または日本国内在住の60歳~65歳未満で年金制度に加入していない期間
○障害厚生年金
・厚生年金保険の被保険者である間
2.障害の状態が障害等級表に定める1級または2級に該当している場合(障害厚生年金の場合、障害の状態が2級に該当しない軽い程度の障害のときは3級の障害年金を支給)
3.初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること
掲題の「代謝疾患(糖尿病)による障害」の障害認定基準は平成28年6月1日に一部改定されており、治療を行ってもなお血糖値コントロールが困難な症状の方は、障害年金の支給対象に認定される可能性があります。
“月収40万円”で障害等級3級だといくらくらい「障害年金」がもらえる?
日本年金機構によると、認定基準改正後の糖尿病について「検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を行っており、一定の症状や状態に該当する場合は血糖コントロールが困難なものとして障害等級の3級と認定する」と示しています。
障害厚生年金の年金額は「3級・平成15年4月以降に厚生年金加入」である場合、以下の計算方法が適用されます。
年金額=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
ただし、加入期間が300月(25年)未満の場合は300月とみなして計算します。日本年金機構「厚生年金保険料額表(令和7年度版)」によると、報酬月額(月収)が40万円の場合、平均標準報酬額は「41万円」となり、以下のように計算できます。
41万円×5.481/1000×300か月=67万4163円
条件を満たし3級に認定された場合の一例として、年間年金額は67万4163円となり、月額では5万6180円ほどの障害年金をもらえる可能性があるようです。なお、障害基礎年金は障害の状態が障害等級表に定める1級または2級に該当している場合のみとなり、障害等級3級は支給対象ではありません。
65歳になったら「老齢年金」も上乗せでもらえる?
公的年金は1人1年金が原則ですが、特例として2つの年金を受け取れることがあります。
日本の公的年金制度は国民年金と厚生年金の2階建て構造になっているため、障害基礎(厚生)年金を受けている方が、老齢基礎(厚生)年金を受給できる65歳以後、次のいずれかの年金を選択できます。
1.障害基礎年金+障害厚生年金
2.老齢基礎年金+老齢厚生年金
3.障害基礎年金+老齢厚生年金
なお、障害年金には税金がかかりませんが、老齢年金には税金がかかることがあるので、年金の選択には注意が必要です。また本記事で想定している障害等級3級の場合、実際に受給できるのは障害厚生年金のみとなります。
まとめ
月収40万円が途絶えた場合でも、条件を満たせば糖尿病の悪化により月5万円台の障害年金を受け取れる可能性があります。障害年金は生活を全面的に支える収入というよりも、治療や就労制限による収入減を補う「下支えの制度」として位置づけるといいでしょう。
税金の有無も含めてどの年金を受け取るかによって手取り額は変わってくるため、早めに情報を整理しておくことが大切です。
出典
日本年金機構 障害年金
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 障害年金のお知らせ <改正のポイント>(2ページ)
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和7年度)(1ページ)
日本年金機構 年金の併給または選択
日本年金機構 Q障害年金を受け取っていますが、老齢年金も受け取れるようになりました。何か手続きは必要ですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー