年金収入「年200万円」は多い? 少ない? 平均的な年金額を解説!
特に退職後の生活設計を考える際には、平均的な年金受給額を知ることが有益です。本記事では、最新統計を基に、年金収入「年200万円」を平均値と比較し、その位置づけを整理します。
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日本の年金制度における受給額の平均とは
日本の公的年金制度は大きく2つに分かれます。ひとつは日本に住んでいる全ての20歳以上60歳未満の人が加入する「国民年金(基礎年金)」、もうひとつは会社員や公務員などが加入する「厚生年金」です。多くの場合、老後の年金収入は両制度からの給付の合算額として受け取ります。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和6年度末時点における厚生年金保険の受給者平均年金月額は15万1142円です。この数値は老齢基礎年金を含めた月額平均であり、年間に換算すると約181万円前後と考えられます。
国民年金(基礎年金)のみを受給している場合は、平均年金月額が5万9431円で、年間では約71万円前後になります。こちらは国民年金のみで生活する場合の平均値です。
なお、これらの統計は受給者全体の平均値であり、加入期間や保険料の納付状況、就労歴などによって個々人の年金額は異なります。
年金収入「年200万円」はどの位置にあるのか
年金収入を年間ベースで見た場合、「年200万円」はどの程度の水準なのでしょうか。上述の厚生年金受給者の平均月額に基づく単純計算では、厚生年金受給者の平均年金額は約181万円となります。これは平均的な厚生年金受給者の収入であり、年200万円はこの平均よりやや高めの水準です。
一方、国民年金のみの受給者平均は年約71万円となります。また、日本年金機構によれば、令和6年度の老齢基礎年金の満額は月額6万8000円、年額に換算しても81万6000円です。そのため、国民年金のみで暮らす場合、満額受給であっても、年200万円には大きく届かないことになります。
この比較から分かるのは、「年200万円」は厚生年金加入歴のある受給者の平均をやや上回る水準であるということです。
受給額が少ないと感じる背景
「年金だけでは生活が厳しい」と感じる人がいる背景には、複数の要因があります。
ひとつは、加入期間などが十分でない場合です。年金制度は加入期間や保険料納付済期間が長いほど受給額が多くなる仕組みであり、仮に厚生年金保険の加入期間が短かったり、保険料納付済月数が少ない場合や保険料免除期間が多かったりすると、受給額は平均を下回る傾向があります。
また、平均値はあくまで平均であり、個々の生活費や地域差、ライフスタイルによって必要な収入は異なります。例えば、都市部での生活費は地方と比較して高くなる傾向があり、その場合は平均的な年金収入でも不足を感じることがあります。
さらに、年金以外の収入が全くない場合には、年金だけで生活費や医療費、介護費用などを賄うことが難しいと感じるケースもあります。こうした点から、年金収入が平均に届いていても、他の収入源や資産の有効活用を検討する必要があると考えられます。
年金収入を補うための考え方
年金収入だけに依存せず、老後の生活資金を確保する方法としては、公的年金以外の収入源や資産形成が重要になります。例えば、個人年金保険やiDeCo(個人型確定拠出年金)、NISAなどの制度を活用する方法が挙げられます。
また、年金受給開始のタイミングを調整することも選択肢のひとつです。繰下げ受給(受給開始を遅らせること)を選択すれば、繰り下げた期間に応じて年金額が増額され、その増額率は生涯変わりません。
ただし、繰下げ期間中は年金を受け取れないため、生活資金とのバランスを見極める必要があります。
まとめ
年金収入「年200万円」は、厚生年金加入歴がある人の平均年金額と比べるとやや高めの水準といえます。一方、国民年金だけの場合は年200万円には大きく届かない水準です。
平均的な年金収入のデータを理解すると、自身の年金設計に役立つだけでなく、今後の生活計画にも生かせるでしょう。ただし、公的年金だけでは十分とはいえないケースもあるため、資産形成や他の収入源の準備についても併せて検討することが望ましいです。
出典
厚生労働省年金局 令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II. 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)、III. 国民年金 (2)給付状況 表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移(19ページ)
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー