“最大1.8倍以上”も年金が増える「繰下げ受給」、平均寿命の80代まで生きるなら「何歳から受給」するのが“お得”?

配信日: 2026.01.02
この記事は約 3 分で読めます。
“最大1.8倍以上”も年金が増える「繰下げ受給」、平均寿命の80代まで生きるなら「何歳から受給」するのが“お得”?
年金制度には、繰下げ受給と繰上げ受給という2つの選択肢があります。それぞれ年金が増える代わりに受給が遅れる、受給が早まる代わりに年金が減るという特徴がありますが、何歳から受給すると得、または損になるのでしょうか。本記事では、繰下げ・繰上げ受給の概要とそれぞれの損益分岐点を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

そもそも年金の「繰下げ受給」「繰上げ受給」とは

日本年金機構によると、年金の繰下げ受給とは、年金の受給開始を遅らせることで受給開始日から受け取れる年金額を増やせる制度です。
 
例えば、原則65歳から受け取れる年金を、66歳から75歳の間で繰下げることで、増額された年金を受給できます。繰下げ期間に応じて増額率が変わり、その増額率は生涯にわたって固定されます。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金はそれぞれ別々に繰下げ受給が可能ですが、特別支給の老齢厚生年金は繰下げられません。
 
一方、年金の繰上げ受給とは、原則65歳からの年金を、60歳から64歳の間で前倒しして受け取る制度です。ただし、繰上げ受給を申請したタイミングに応じて年金額は減額され、その減額率も生涯にわたって固定されます。さらに、原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ受給の申請を行う必要があります。
 

平均寿命を考慮すると「男性の繰下げ受給」は「70歳まで」に申請した方が良い可能性も

繰上げ受給・繰下げ受給の検討にあたっては、損益分岐点の考え方が重要になります。ここでいう損益分岐点とは、通常の会計用語でいう売上高と総費用がちょうど等しくなる点と同じような概念です。年金に置き換えると、生涯で受け取る年金総額がどの年齢で得になるかを示す年齢を指します。
 
日本年金機構によると、繰下げ受給の増額率は1ヶ月遅らせるごとに0.7パーセントで最大84パーセントです。現状の増額率で65歳から受給した場合と比較すると、繰下げ受給の損益分岐点は受給開始から約11年弱後と考えられます。
 
厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳です。それぞれの平均寿命に当てはめると、損をしないためには男性の場合、繰下げ受給は70歳までに行うと通常受給よりも有利になると考えられます。
 
なお、実際の有利・不利は個人の健康状態や就労状況、税・社会保険料などによって大きく変わるため、「70歳までに繰下げれば必ず有利」とまではいえません。
 
一方、女性の場合は75歳までのどの時点で繰下げても、損益分岐点より長生きできる可能性が高いため、いつ繰下げ受給を請求しても有利でしょう。しかしながら、男性と同じく「いつ繰下げても必ず有利」というわけではなく、健康状態や家計状況、他の資産とのバランスを考慮して検討する必要があります。
 

男女ともに「繰上げ受給」のタイミングには注意が必要

日本年金機構によると、繰上げ受給の場合、1ヶ月早めるごとに0.4パーセントで最大24パーセント減額されます。繰上げ受給を行った場合、受給期間のある時点で通常受給よりも受給総額が下回るタイミングがある点には注意です。
 
現在の減額率で65歳から受給した場合と比較した場合、繰上げ受給の損益分岐点は受給開始から20年10ヶ月後と考えられます。前述の平均寿命に当てはめると、損をしないためには男性の場合、繰上げ受給の請求は約61歳以降の方がよいかもしれません。
 
一方、女性は平均寿命が長く、長生きするほど繰り上げによる減額が不利に働きやすいため、一般論としては繰り上げずに65歳から獲得する方が有利になりやすいと考えられます。
 
なお、これは平均寿命からの概算であり、個人の健康状態や既往歴、生活水準なども関係するため、ケースバイケースです。ひとつの目安として参考にしてください。
 

まとめ

繰下げ受給は受給を遅らせる代わりに年金を増やす制度、繰上げ受給は年金が減る代わりに受給を早める制度です。現状の増額・減額率を考えると、繰下げ受給は約11年弱後、繰上げ受給は20年10ヶ月後に受給総額が通常受給の場合と同額になります。自身の健康状態や生活水準なども考慮して、適切なタイミングを見極めましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金の繰上げ受給
厚生労働省 令和6年簡易生命表の概況 主な年齢の平均余命
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問