私は現在38歳のシングルマザーです。いま遺族厚生年金を受給中ですが、原則5年間の有期給付となると聞いたのですが本当ですか? いつから制度変更が反映されるのでしょうか?

配信日: 2026.01.07
この記事は約 4 分で読めます。
私は現在38歳のシングルマザーです。いま遺族厚生年金を受給中ですが、原則5年間の有期給付となると聞いたのですが本当ですか? いつから制度変更が反映されるのでしょうか?
2025年6月13日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が成立し、2028年4月より施行されます。この改正では、主に女性の就業率向上などを踏まえ、遺族厚生年金の男女差の是正が目的とされ、遺族厚生年金の給付が男女ともに「原則5年間の有期給付」となります。
 
本記事では、遺族厚生年金の給付に関する改正内容を中心に確認していきます。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

改正後の遺族厚生年金の仕組み

今回の改正により遺族厚生年金の仕組みは、以下のようになります。
 

【現在の仕組み】

・女性
30歳未満で夫と死別した場合:5年間の有期給付
30歳以上で夫と死別した場合:無期給付
 
・男性
55歳未満で妻と死別した場合:給付なし
55歳以上で妻と死別した場合:60歳から無期給付

 

【改正後(令和10年4月以降)】

・男女共通
60歳未満で配偶者と死別した場合:原則5年間の有期給付
(ただし、配慮が必要な場合には5年目以降も給付を継続)
60歳以上で死別した場合:無期給付(これまで通り)

 
ただし、いずれも子ども(18歳になった年度末または障害の状態にある場合は20歳未満)がいない場合のもので、子どもがいる場合は、上記年齢を超えるまでは現行制度と同じで、超えた後から原則5年間の加算によって増額された有期給付+継続給付(後述)となります。
 
この時点で、女性の場合には、これまでは無期給付であった方が5年間の有期給付となる場合があり、男性の場合には、これまでは給付を受けることができなかった方が5年間の有期給付を受けられる場合などがあります。
 

改正後に影響を受ける女性、影響を受けない方

改正法の施行後に、その影響により新たに5年間の有期給付となるのは、2028年の年度末(2029年3月末)時点で40歳未満かつ子がいない30歳代の女性です。質問者の場合は、シングルマザー(子の年齢は不明)で、すでに遺族厚生年金を受給中とのことで対象にはなりません。また、以下に該当する方は、現行通りの給付となります。
 

(1)改正前から遺族厚生年金を受給中である方(これまで通り現行制度に基づく無期給付)
(2)60歳以上で死別した方(これまで通り無期給付)
(3)子どもがいる方

対象となる子どもがいる方は、子どもがその年齢に達するまでは遺族年金を受給することができます。超えた後は、原則5年間の有期給付となります。
(4)2028年度に40歳以上となる女性
今回の改正で2028年に影響を受けるのは、年度末に40歳未満の女性です。今後は、有期給付となる対象年齢が20年間かけて順次引き上げられ、最終的には男女ともに60歳未満は5年間の有期給付となります。

 

遺族年金のその他の改正点

今回の改正では、受給者にとってうれしい(増額が見込まれる)改正点がいくつかあります。
 

(1)年収制限の撤廃

これまでは、遺族年金を受け取る遺族が死亡した方によって生計を維持されていたとして、年収850万円未満という制限がありましたが、今回の改正で撤廃されます。
 

(2)有期給付加算による増額

現在の遺族厚生年金の受給額は、死亡した配偶者が受け取っていた厚生年金の報酬比例部分の4分の3ですが、5年間の有期給付については4分の1が加算され、4分の4の有期給付加算が付きます。
 

(3)5年経過後の継続給付

収入が十分でない、障害があるなどの条件を満たす場合には、5年経過後も継続給付として、引き続き増額された遺族厚生年金が支給されます。さらに、就労収入が一定以上の場合、年金額は収入と年金の合計が段階的に増えるように調整されます。
 

(4)死亡分割による上乗せ

例えば、死亡した夫の収入が妻よりも多い場合、妻の厚生年金記録に夫の分が上乗せされる死亡分割が新たに導入されます。
 

(5)遺族基礎年金の子の加算の増額

これは遺族基礎年金に関する改正ですが、子の加算の額が引き上げられ、対象の子ども1人につき年額28万1700円となります。
 
また、遺族基礎年金を受け取ることができる子どもの範囲が拡大され、子ども自身の選択によらない事情(例えば、生計を維持している配偶者の再婚、配偶者の収入が850万円以上、子どもが直系血族などの養子など)に左右されずに受給できるようになりました。
 

まとめ

質問者は、インターネットやAI、うわさ話などを信じて、全ての方が「無期給付だったものが5年間の有期給付に変わってしまう」と勘違いし、驚かれているようです。今回の改正は男女差を解消することを目指していますが、女性の場合には一気に60歳まで有期給付の対象者を広げることなく、向こう20年間かけて緩やかに対象年齢の引き上げが実施される予定です。
 
情報を得る場合には、表面的な見出しや裏付けのないうわさ話を信じ込むことなく、常に正確な情報を得るように心掛けましょう。
 

出典

厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問