65歳で再雇用、年収300万円です。残業をしすぎると「年金が減る」と聞いたのですが、なぜでしょうか?

配信日: 2026.01.08
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65歳で再雇用、年収300万円です。残業をしすぎると「年金が減る」と聞いたのですが、なぜでしょうか?
65歳を過ぎても働く高齢者は増えています。年金受給開始後に再雇用などで働く場合、「残業を増やすと年金が減る」と聞いたことがある人もいるかもしれません。実際に、年金と給与収入の関係では「在職老齢年金」という仕組みがあり、収入次第では年金額が調整される可能性があります。
 
どこまで収入を増やしてよいのか、残業をすれば年金が減らされてしまうのかといった疑問は、制度の仕組みを理解することで、最適な選択肢が見つかる場合があります。
 
本記事では、在職老齢年金とその計算に使われる「総報酬月額相当額」「標準報酬月額」の考え方を整理し、残業代が年金に与える影響について解説します。
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「在職老齢年金」とはどのような制度か

在職老齢年金は、老齢厚生年金を受け取りつつ働いて給与収入がある場合に、老齢厚生年金と給与の1ヶ月の合計が一定の基準(支給停止調整額)を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止される制度です。
 
対象となるのは、老齢厚生年金を受給している人で、再雇用などで厚生年金保険の被保険者として働き続けている場合です。一方で、厚生年金保険に加入しない働き方をしている場合や、老齢基礎年金のみを受給している場合には在職老齢年金の調整は適用されません。
 
在職老齢年金の調整では、老齢厚生年金の基本月額と、賞与を含む給与収入に基づく「総報酬月額相当額」を合算した金額が支給停止調整額を超えるかどうかで減額の有無を判断します。支給停止調整額を超えると、その超過部分に応じて年金額が調整されます。
 

「標準報酬月額」とは何か

在職老齢年金で重要な計算要素となるのが、「総報酬月額相当額」です。日本年金機構によれば、この総報酬月額相当額は、「(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12」で求められ、在職老齢年金の判定に用いられます。
 
「標準報酬月額」とは、保険料や年金額の計算の基礎となるもので、被保険者が受け取る給与を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定したものです。
 
同じく日本年金機構によると、ここでいう「報酬」とは、基本給のほか、役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を加えたものであり、臨時に支払われるものや3ヶ月を超える期間ごとに受ける賞与などは含まれません。
 
例えば、残業が増えて給与額が増えると、報酬月額が増えます。それにより該当する標準報酬月額の等級が上がる可能性があり、総報酬月額相当額と年金額を合算したときに在職老齢年金の支給停止調整額を超えるリスクが高まることになります。
 

残業代が年金に与える影響

ここで、残業代の増加がどのように年金の調整額に影響するか考えてみます。今回のように、年収300万円程度の再雇用で働くケースでは、基本給に残業手当が加わり、総報酬月額相当額が一定水準を上回る可能性があります。
 
前述したように、総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額を12で割った数値の合計です。残業手当は報酬として計算に入るため、残業が多くて給与が高くなると、標準報酬月額が高い等級に該当しやすくなります。
 
標準報酬月額が高くなると、総報酬月額相当額が上がり、老齢厚生年金の基本月額との合計が在職老齢年金の支給停止調整額を超えやすくなり、結果として老齢厚生年金の支給が調整される可能性があります。
 
具体的な調整額は、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が支給停止調整額をどの程度超えているかに応じて計算されます。
 
日本年金機構によれば、令和7年度の支給停止調整額は月51万円とされていますが、令和8年4月から62万円に引き上げられる予定です。この金額は制度改正などによって変わりますので、最新の基準額を確認する必要があります。
 

まとめ

65歳で再雇用として年収300万円程度で働いている場合、残業代の増加が年金額の調整に影響する可能性があります。
 
それは、残業手当を含む報酬月額が「標準報酬月額」の引き上げにつながり、その標準報酬月額を基に計算された総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計額が、在職老齢年金の支給停止調整額を超えるかどうかの判定に影響するためです。
 
ただし、すべてのケースで残業が年金減額につながるわけではなく、総報酬月額相当額と基本月額との合計が支給停止調整額以下であれば、年金は全額支給されます。また、老齢基礎年金は給与などにかかわらず全額支給されます。
 
制度の仕組みを正しく理解し、自身の働き方や収入構成を把握したうえで判断することが重要です。必要であれば、日本年金機構などの公的機関に確認し、具体的な収入額に応じた影響を確認することをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 年金用語集 は行 標準報酬月額
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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