繰上げ受給は“損”と言われるけど…62歳・無職なら繰り上げるべきですか?繰上げ受給を選択する際の注意点も解説
本記事では、繰上げ受給の仕組みを整理したうえで、62歳で無職の場合に選択する価値があるのか、注意点と合わせて解説します。
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繰上げ受給とはどのような制度か
繰上げ受給は、老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給開始年齢を60歳から65歳になるまでの間に早めることができる制度です。日本年金機構によれば、老齢年金は65歳からの受給開始が原則であるところ、希望すれば60歳から繰上げ請求をすることが可能とされています。
繰上げ受給を選択すると、繰り上げた期間に応じて年金額が減額されます。
具体的には、1ヶ月繰り上げるごとに年金額が0.4%減少し、最大で60ヶ月(5年)繰り上げると、年金額は24%減額されます(昭和37年4月1日以前生まれの方は、ひと月当たりの減額率が0.5%、最大30%減額)。したがって、62歳で繰上げ受給を始めると、65歳受給開始と比べて36ヶ月分×0.4%=14.4%の減額となります。
この減額率は、繰上げ請求をして一度確定すると、生涯にわたって適用される点が特徴です。つまり、受給開始時期を早めるほど当初の年金額は低くなり、その水準が将来にわたって続くことになります。
62歳・無職なら選ぶ価値はあるか
ここで、今回の「62歳・無職」というケースで具体的な価値を考えてみましょう。無職であり、60~64歳の間に収入源が乏しい状況であれば、繰り上げて年金を受け取ることで生活資金の枯渇を防ぎ、直近の生活費に充てることができます。これは、収入がない期間の収入源として年金を活用するメリットです。
一方で、前述の通り、繰上げ受給による減額は一度確定すると生涯続く仕組みとなっています。例えば、65歳からの受給を前提にした月額14万円が、62歳からの繰上げ受給により14.4%減額され11万9840円になると、同じ生活水準でも毎月差額が発生します。これは、長期的にみると総受給額の減少につながる可能性があります。
そのため、「62歳・無職」という単純な条件だけで繰上げ受給が正解かどうかを判断するのは適切ではありません。直近の生活費の不足を補う手段としては有効ですが、長期の生活設計や健康寿命、家族構成、貯蓄の有無なども併せて検討する必要があります。
繰上げ受給を選択する際の注意点
繰上げ受給を検討する際に最も重要なのは、年金額の減額が一時的ではなく、生涯にわたって続くという点です。繰上げ受給によって減額された年金額は、その後65歳を迎えても元に戻ることはなく、老後のすべての期間に影響します。
さらに注意したいのが、老齢年金を繰上げ請求した後は、その請求を取り消すことができないという制度上の特徴です。たとえ後から就職が決まったり、生活状況が改善したりした場合でも、受給開始時期を変更することはできません。
年金は高齢期の生活を支える基礎的な収入であり、年齢が上がるにつれて医療費などの支出が増える可能性があります。繰上げ受給は当面の生活資金確保には有効な面がある一方、将来の年金水準を引き下げる選択でもあります。短期的な資金需要と長期的な生活設計の両面から、慎重に判断することが重要です。
まとめ
繰上げ受給は、60歳から65歳になるまでの間に年金受給を繰り上げて開始できる柔軟な制度ですが、繰り上げた期間に応じて受給額が減額され、その減額率が生涯にわたって続くという特徴があります。62歳で無職という状況で直近の生活費を補うという意味では、繰上げ受給が有効なケースも考えられます。
しかし、年金収入は長期にわたって生活を支える収入源でもあり、減額の影響や将来の生活設計を踏まえて慎重に判断することが重要です。貯蓄状況や健康状態などを総合的に検討したうえで、必要に応じて公的機関や専門家に相談することが望ましいでしょう。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー