ふと夫の「ねんきん定期便」を見てみたら「社会人30年目」なのに加入期間が「200ヶ月以下」と知ってびっくり! 夫に何かあっても「遺族年金」はもらえない可能性もあるって本当!?
本記事では、夫が会社員・公務員などとして厚生年金に加入歴がある(加入中を含む)ケースを前提に、遺族年金を受給するための要件や受給権者の優先順位を解説するとともに、老齢年金と併給する際の注意点についても紹介します。
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受給には原則として「国民年金加入期間の3分の2」以上の納付済期間が必要
遺族厚生年金の受給には、死亡した被保険者が一定の給付要件を満たしている必要があります。原則、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です(3分の2要件)。
また、日本の年金制度は2階建てになっており、会社員や公務員が加入する厚生年金保険の被保険者は国民年金の第2号被保険者でもあります。
日本国内に住む20歳以上60歳未満の方は皆、国民年金への加入が必須です。例えば、大学卒業後すぐに就職し社会人30年目で亡くなったケースであれば、国民年金の加入期間は20~22歳の24ヶ月と30年間の社会人期間(厚生年金の加入期間)を通算して「384ヶ月」となります。
30年間で通常想定される加入期間はおおよそ「360ヶ月以上」と考えられるため、掲題の奥様にとっては「加入期間200ヶ月以下」は想定外だったことでしょう。
ねんきん定期便を前提に加入期間=保険料納付済期間とすると、国民年金の加入期間384ヶ月に対し保険料納付済期間200ヶ月以下だと前記の「3分の2要件」に満たないことから、不安を抱かれるのも無理はありません。
しかし、この受給要件には例外が存在します。令和18年3月末日までに死亡した場合、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。直近の納付分を支払っていれば、万が一不幸があったとしても遺族厚生年金を受給できる可能性が高いでしょう。
受給対象者には「優先順位」が存在する
遺族厚生年金の受給は、遺族であれば誰でも受け取れるわけではありません。遺族年金の受給対象者は、死亡した方が生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方が受給権を持ちます。なお、遺族基礎年金を受給できる遺族の方は、あわせて受給が可能です。
1.子のある配偶者
2.子*¹
3.子のない配偶者
4.父母
5.孫*²
6.祖父母
*¹*²:18歳までの方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級あるいは2級の状態にある方
配偶者の場合には、「中高齢寡婦加算」「経過的寡婦加算」を受給できるケースもあります。
65歳以後の「老齢年金」「遺族年金」は金額が調整される場合も
65歳以上で、ご自身の老齢厚生年金と配偶者の死亡による「遺族厚生年金」の両方の受給権を持つ場合、受給方法には調整が入るとされています。平成16年に行われた年金制度改正にともない、平成19年4月1日から適用されたルールです。
このケースでは、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となるよう調整されます。
また、妻が65歳以後も働いたことによって受給要件を満たし、70歳以後に老齢厚生年金の受給資格を得た場合でも、上記の「老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給による調整」の対象となる可能性があるため、注意が必要です。
加えて、「繰下げ受給」との関係にも注意しておきましょう。遺族厚生年金を受け取った場合、ご自身の老齢年金の繰下げ受給には制限があるとされています。遺族年金を受け取りながら、自分の年金を増やそうとして繰下げを選択することが制度上、制限があるため、併給調整と受給選択のルールを理解しておきましょう。
同様に、老齢年金を繰り上げて受給する場合、65歳になるまでの間は遺族年金など、ほかの年金とあわせて受給できないようです。
まとめ
掲題の奥様については、ご説明した受給要件には例外が存在することから、遺族厚生年金をもらえない可能性は低いと考えられます。各種厚生年金の受給にかかわる制度は複雑であり、受給要件があったり、併給の注意点があったりと把握するべき点も複数あります。
年金制度は法改正によりルールも変わるため、ねんきん定期便などで最新の記録を確認するとともに、正確な情報に基づいた生活設計を心がけましょう。
出典
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 適用事業所と被保険者
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和7年度送付分)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
