自分が亡くなったときの「遺族年金の受取人」を「叔母」にしたいです。私は未婚で両親は裕福なのですが、叔母は「一人暮らし」のため生活が心配です。受取人を指定する方法を知りたいです!

配信日: 2026.01.17
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自分が亡くなったときの「遺族年金の受取人」を「叔母」にしたいです。私は未婚で両親は裕福なのですが、叔母は「一人暮らし」のため生活が心配です。受取人を指定する方法を知りたいです!
自分が亡くなったとき、遺族には遺族年金が支給されます。遺族年金の受取人を自分で指定したいという方もいらっしゃるかもしれません。
 
そこで本記事では「遺族年金の受取人を叔母に指定することはできるのか?」「一人暮らしの叔母がお金を受け取れる方法はないか?」について解説します。公的年金だけでなく私的年金や生命保険についても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

遺族年金の受取人を叔母に指定することはできるのか?

一般に、遺族年金といえば「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」であり、国民年金や厚生年金の被保険者などであった方が死亡したときに、その方によって生計が維持されていた遺族が受け取ることができる年金のことをいいます。
 
遺族基礎年金の受給対象者は「子のある配偶者」または「子」であり(国民年金法第37条の2)、遺族厚生年金の受給対象者は「配偶者」「子」「父母」「孫」「祖父母」です(厚生年金保険法第59条)。
 
未婚で配偶者も子もいない方が亡くなった場合、遺族基礎年金は受給対象者がいないために支給されず、遺族厚生年金は父母(55歳以上である場合に限る)に対して支給されます。「叔母」は受給対象者に含まれていないため、遺族年金を受け取ることはできません。
 
では、遺族基礎年金・遺族厚生年金の受取人に叔母を指定することができるかといえば、できません。遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給権は、法律により規定された固有の権利です。
 
この権利を、例えば遺言などで指定するということはできません。ちなみに、この受給権は相続財産ではないため、遺言や遺産分割協議の対象にもならなければ、相続税の課税対象にもなりません。
 

一人暮らしの叔母がお金を受け取れる方法はないか?

年金制度には公的年金と私的年金があり、前項で取り上げた遺族基礎年金・遺族厚生年金は公的年金です。私的年金には、「確定給付企業年金」「確定拠出年金(企業型)」「確定拠出年金(個人型)」などがあります。
 
以下では、「確定給付企業年金」「確定拠出年金(企業型)」「確定拠出年金(個人型)」における、いわゆる遺族年金(加入者が死亡した場合などに給付・支給されるお金)の受給対象者について解説します。
 
確定給付企業年金では、加入者が死亡した場合、「遺族給付金」を受給することができます。遺族給付金の受給対象者は、以下の遺族のうち、規約で定める方です(確定給付企業年金法第48条)。


(1)配偶者(内縁の関係にあった方を含む)
(2)子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹
(3)(2)以外で、亡くなった方の収入によって生計を維持していた親族

また、確定拠出年金(企業型・個人型)では、加入者が死亡した場合、「死亡一時金」を受給することができます。死亡一時金の受給対象者は、以下の遺族です(確定拠出年金法第41条)。


(1)配偶者(内縁の関係にあった方を含む)
(2)子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のうち、亡くなった方の収入によって生計を維持していた方
(3)(2)以外で、亡くなった方の収入によって生計を維持していた親族
(4)子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のうち、(2)以外の方

このことから、叔母は確定給付企業年金の(3)、確定拠出年金(企業型・個人型)の(3)に該当すれば、受給できる可能性があります。ただし、それぞれの年金において「受給できる遺族の順位」があります。
 
確定給付企業年金における遺族の順位は、「規約(確定給付企業年金に係る規約)で定めるところによる」としており、叔母が受給できるかどうかは規約で受取人をどのように規定しているかによります。
 
確定拠出年金(企業型・個人型)における遺族の順位は、原則として先述の(1)から(4)の順番であり、「亡くなった方が、亡くなる前に、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のうちから受取人を指定した場合には、その方を優先する」としています。しかし、指定できる受取人のなかに「叔母(親族)」は含まれていません。
 
つまり、私的年金においても、受取人を叔母に指定することが難しいことが分かります。公的年金でも私的年金でも受取人として叔母を指定することができない、難しいとなると、自分が亡くなったときに叔母の生活を支える方法として遺族年金以外で考えられることは、生命保険を活用するということです。
 
生命保険の受取人を叔母に指定しておけば、自分が亡くなったとき、叔母が死亡保険金を受け取ることができます。ただし、この場合の死亡保険金には相続税が課税されること、相続税法に規定する非課税財産の取り扱い(「500万円×法定相続人の数」の非課税計算)がないことに注意する必要があります。
 

まとめ

本記事では「遺族年金の受取人を叔母に指定することはできるのか?」「一人暮らしの叔母がお金を受け取れる方法はないか?」について解説しました。まとめると、以下のとおりです。


・公的年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)の受取人を叔母に指定することはできない
・私的年金(遺族給付金・死亡一時金)の受取人を叔母に指定することは原則できない
・一人暮らしの叔母がお金を受け取れる方法として生命保険がある

公的年金・私的年金の遺族年金は、受給対象者や受け取れる優先順位を法律により規定しており、個人が自由に指定できるものではありません。これは、遺族年金の目的が「亡くなった方によって生活を維持されていた方の生活を保護するため」だからです。
 
確定拠出年金(企業型・個人型)の死亡一時金については、亡くなる前に受取人を指定することが可能ですが、指定できる遺族の範囲は「配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹」に限られます。
 
叔母のような、公的年金の受給対象者には該当せず、私的年金の受給対象者には該当するものの順位が低いという方が遺族年金を受け取るということは、正直、難しいです。
 
叔母を受取人に指定したいのであれば、生命保険を活用するのがよいでしょう。ただし、相続人ではない叔母が死亡保険金を受け取る場合には、税金(相続税)について考慮する必要がありますので、実際に保険金受取人を叔母に指定するのであれば、事前に税金について説明しておくべきでしょう。
 

出典

デジタル庁 e-Gov法令検索 国民年金法
デジタル庁 e-Gov法令検索 厚生年金保険法
デジタル庁 e-Gov法令検索 確定給付企業年金法
デジタル庁 e-Gov法令検索 確定拠出年金法
デジタル庁 e-Gov法令検索 相続税法
 
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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