定年後に週3日パートで働き、月収は「10万円」ほど。「これ以上働くと損」と言われましたが、年120万円の稼ぎでも年金に影響があるのでしょうか?
一方で、「働きすぎると年金が減る」「結局、手取りは増えない」といった話を耳にし、不安を感じている人も多いでしょう。本記事では、定年後の働き方で年金に影響が出るのかを冷静に確認していきます。
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目次
定年後に週3日・月10万円で働くと、本当に「年金が減って損」になるのか?
定年後も働き続ける場合、収入が年金にどう影響するのかという点を考える際に鍵になるのが、「在職老齢年金」という制度です。
在職老齢年金とは、老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金保険に加入して働く場合などに、賞与を含む給与と老齢厚生年金額の合計が1ヶ月あたり一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる仕組みです。
日本年金機構によると、下記の計算式で支給停止調整額を超えると、その超えた分の半分が老齢厚生年金から差し引かれます。
・基本月額(老齢厚生年金の月額)+総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の月割り)
つまり、「どれくらいの年金をもらっているか」と「パート収入がいくらか」の両方を見ないと、損になるかどうかは判断できないのです。
在職老齢年金の支給停止の基準額「月62万円」とは? 月10万円パート・年120万円なら減額ラインはどこか
厚生労働省は、在職老齢年金の支給停止の基準額を引き上げる改正を進めており、給与と老齢厚生年金の合計が月62万円を超える場合に支給停止が始まる予定となっています。
2024年度の基準額は月50万円ですが、改正後は基準が大きく引き上げられ、高齢者が年金を受け取りながらより働きやすくすることが目的とされています。
今回のケースで月10万円のパート収入(総報酬月額相当額も10万円と仮定)の場合、支給停止調整額を62万円として計算式から逆算すると、「62万円-10万円=52万円」となり、老齢厚生年金の月額が52万円を超えなければ支給停止は発生しません。
実際、老齢厚生年金の最高額は理論上月30万円程度とされているため、月52万円に達するケースは存在しないでしょう。したがって、月10万円・年120万円程度のパート収入では、在職老齢年金による支給停止は発生しないと考えられます。
また、支給停止の対象はあくまで老齢厚生年金であり、老齢基礎年金部分は在職老齢年金の調整の対象外です。
在職老齢年金以外で注意したいポイント
一方で、「年金が減らないから安心」とだけ考えるのではなく、社会保険への影響も押さえておく必要があります。
パートで厚生年金保険・健康保険に加入するかどうかは、勤務先の規模や週の所定労働時間、所定内賃金が一定額以上かどうか、勤務期間が2ヶ月を超える見込みがあるかなど、複数の条件で判断されます。
企業規模や契約条件などによっては社会保険加入の対象となる場合があるため、勤務先に確認することが重要です。
「これ以上働くと損」を恐れすぎないための、定年後マネープランの考え方
在職老齢年金の支給停止調整額が引き上げられることで、多くの人にとって「年金が減るかどうか」を心配する局面は、これまで以上に少なくなるでしょう。
一方で、「これ以上働くと損」という言葉だけが独り歩きすると、本来は家計の安心感を高めるはずのパート収入を過度に抑えてしまい、生活のゆとりや社会とのつながりを自ら狭めてしまう恐れがあります。
定年後の働き方を考える際には、「在職老齢年金の支給停止の基準額」「社会保険加入の要件」「税金が増えるライン」といったお金の条件を一度整理したうえで、自分の体力や暮らし方の希望と照らし合わせ、無理なく続けられるペースを選ぶことが大切です。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー


