定年退職後も同じ会社で勤め続けている父。年収500万円程度なのですが、年金はもらえなくなるでしょうか?
特に年収500万円程度の場合、年金が全額停止されるのかどうか不安に思う人もいるかもしれません。本記事では、「在職老齢年金制度」の仕組みと、年収500万円の場合の考え方を整理します。
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在職老齢年金制度の仕組み
在職老齢年金制度は、厚生年金保険に加入しながら働く人や、70歳以降も厚生年金保険の加入事業所で働く人について、老齢厚生年金と給与の合計額が1ヶ月あたりで一定基準を超えると、老齢厚生年金が一部または全部支給停止となる仕組みです。
日本年金機構によると、判定に用いられるのは以下の2つの合計額です。
・老齢厚生年金の基本月額(加給年金額を除く)
・総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の月換算額)
重要なのは、調整の対象は老齢厚生年金部分のみであり、老齢基礎年金は支給停止の対象ではないという点です。
厚生労働省によれば、2026年3月までは、支給停止調整額は月51万円とされており、2026年4月からはこの基準が月65万円に引き上げられる予定とされています。
年収500万円程度で年金はどうなるか
年収500万円を単純に月額換算すると、約41万6000円となります(賞与の扱いによって実際の総報酬月額相当額は異なります)。
仮に老齢厚生年金が月15万円程度である場合、「41万6000円+15万円=約56万6000円」となります。
2026年2月現在の基準(支給停止調整額:月51万円)で考えると、基準を約5万6000円超えるため、その超過分の2分の1、約2万8000円が老齢厚生年金から支給停止となる計算です。
一方、2026年4月以降に基準が65万円へ引き上げられた場合、合計額56万6000円は基準内に収まるため、支給停止は生じない可能性が高いと考えられます。
「年金がもらえなくなる」とは限らない
在職老齢年金は、老齢厚生年金と給与の1ヶ月の合計額が一定額を超えた場合に調整が行われる制度であり、「収入があると年金がゼロになる」という単純な仕組みではありません。
また、前述の通り、支給停止の対象は老齢厚生年金のみであり、老齢基礎年金は減額されません。そのため、年収500万円だからといって年金全額が停止されるとは限らない点を押さえておく必要があります。
収入調整の要否と判断ポイント
収入を抑えるべきかどうかは、単に年金が減るかどうかだけで判断するものではありません。老齢厚生年金の具体的な額、賞与の有無、家計全体の収支、今後の働き方の希望などを踏まえて総合的に考える必要があります。
仮に一部支給停止となっても、働いて得る給与の方が大きければ、手取り全体では増える場合もあります。
まとめ
定年退職後も年収500万円程度で働き続ける場合、在職老齢年金制度により老齢厚生年金の一部が調整される可能性はあります。ただし、調整の対象は老齢厚生年金部分のみであり、老齢基礎年金は影響を受けません。
また、2026年4月からは支給停止調整額が月65万円へ引き上げられる予定であり、今回のような収入水準であれば支給停止が生じないケースも想定されます。
実際の影響は、受給する老齢厚生年金額や賞与を含めた総報酬月額相当額などによって異なります。自身の年金見込額と給与水準を確認し、制度の基準と照らし合わせながら働き方を検討することが大切です。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
厚生労働省 2026年4月スタート 働きながら年金を受給する皆さま 在職老齢年金制度が改正されます
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
